第一種電気工事士試験 / 令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) / 問3
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令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問3 解説 交流回路のインピーダンス

設問図

図のような交流回路において、電源が電圧 100V, 周波数が50Hzのとき、誘導性リアク タンスXL=0.6Ω, 容量性リアクタンスXC= 12Ωである。この回路の電源を電圧100V, 周波数60Hzに変更した場合、回路のインピ ーダンス[Ω]の値は。

  1. イ. 9.28 ✓ 正答
  2. ロ. 11.7
  3. ハ. 16.9
  4. ニ. 19.9

解説

周波数が50Hzから60Hzに変わると、誘導性リアクタンス XLX_L は周波数に比例して大きくなり、容量性リアクタンス XCX_C は周波数に反比例して小さくなります。それぞれの値を計算し直すと、 XL=0.72ΩX_L = 0.72 \OmegaXC=10ΩX_C = 10 \Omega となり、この回路には抵抗成分がないため、両者の差である 9.28Ω9.28 \Omega が回路全体のインピーダンスとなります。

周波数の変化に連動するリアクタンスの性質

交流回路において、コイル(インダクタ)とコンデンサ(キャパシタ)が持つ抵抗成分をリアクタンスと呼びます。これらは周波数 ff の影響を強く受け、以下の公式で表されます。

誘導性リアクタンス: XL=2πfLX_L = 2\pi f L 容量性リアクタンス: XC=1/(2πfC)X_C = 1 / (2\pi f C)

この式からわかる通り、周波数 ff が大きくなると XLX_L は大きくなり(比例)、 XCX_C は小さく(反比例)なります。問題文では周波数が 50Hz から 60Hz へと、 60/50=1.260/50 = 1.2 倍に変化しています。この倍率をそれぞれのリアクタンスに適用することで、変更後の値を導き出すことができます。

変更後のリアクタンスを算出する手順

まずは、60Hzにおけるそれぞれのリアクタンスを計算します。

誘導性リアクタンス XLX_L の変化

50Hzのとき 0.6Ω0.6 \Omega であった XLX_L は、周波数が1.2倍になることで同様に1.2倍となります。 XL=0.6×1.2=0.72ΩX_L' = 0.6 \times 1.2 = 0.72 \Omega

容量性リアクタンス XCX_C の変化

50Hzのとき 12Ω12 \Omega であった XCX_C は、周波数が1.2倍になることで 1/1.21/1.2 倍(つまり 5/65/6 倍)となります。 XC=12/1.2=10ΩX_C' = 12 / 1.2 = 10 \Omega

抵抗がない回路のインピーダンス

回路全体のインピーダンス ZZ を求める一般的な式は、抵抗を RR とすると Z=R2+(XLXC)2Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2} です。しかし、この回路には図示されている通り抵抗 RR が存在しません。 R=0R = 0 として式を整理すると、以下のようになります。

Z=02+(XLXC)2=XLXCZ = \sqrt{0^2 + (X_L' - X_C')^2} = |X_L' - X_C'|

つまり、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスの差を求めるだけで、回路全体のインピーダンスが算出できるということです。 Z=0.7210=9.28ΩZ = |0.72 - 10| = 9.28 \Omega

交流回路において、コイルとコンデンサは互いの電圧の向き(位相)を打ち消し合う性質を持っているため、直列接続では単純な足し算ではなく、引き算になるのがポイントです。

電気設備における周波数変更の影響

この問題が問うているのは、電源周波数の違いが電気機器にどのような影響を与えるかという基礎知識です。日本では東日本(50Hz)と西日本(60Hz)で周波数が異なるため、移動して使用する機器や、広域で運用される電力設備において、このリアクタンスの変化は無視できない要素となります。

例えば、トランスやモータなどのコイルを含む機器を異なる周波数で使用すると、リアクタンスが変化して流れる電流が変わってしまいます。また、高周波成分をカットするためのフィルタ回路などでも、周波数によってインピーダンスが激変する特性を利用しています。電気工事士として、周波数の変化が回路の「電気の通りにくさ」をどう変えるかを理解しておくことは、機器の過熱事故防止や不具合診断において非常に重要です。

参考リンク

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