令和8年度上期 学科試験 問17 解説 風力発電の羽根形状
風力発電に採用される風車の羽根(ブレード) の形状として,不適切なものは。
- イ. プロペラ形
- ロ. ダリウス形
- ハ. クロスフロー形 ✓ 正答
- ニ. ジャイロミル形
解説
風車の種類を判別する際は、回転軸の方向(水平軸か垂直軸か)と、回転を得る原理(揚力か抗力か)で分類されている名称を覚えるのが近道です。この問題では、選択肢のなかで唯一「水力発電」に使われる用語が混じっていることに注目します。
風力発電に用いられる風車の分類
風力発電の風車は、大きく分けて水平軸型と垂直軸型の2種類に分類されます。
水平軸型の代表例は、私たちが最も目にする機会の多いプロペラ形です。翼の断面形状によって発生する揚力を利用して効率よく回転します。
垂直軸型には、ダリウス形やジャイロミル形、サボニウス形などがあります。 ダリウス形は、弓状に曲げた翼を回転軸に取り付けた形状で、高速回転が可能です。ジャイロミル形は、垂直な直線状の翼を回転軸から離して取り付けたもので、ダリウス形と同様に揚力を利用します。これらは風向きに関係なく回転を始められるという利点があります。
不適切な選択肢であるクロスフロー形の正体
選択肢ハのクロスフロー形は、風車ではなく水力発電で用いられる「水車」の一種です。
クロスフロー水車は、円筒状のランナ(羽根車)の外周から水を取り込み、羽根を通り抜けて反対側へ水が抜ける構造をしています。比較的少ない水量や低い落差でも効率よく発電できるため、小水力発電所で広く採用されています。
形状の名称として「〜形」と並んでいると混同しやすいですが、クロスフローという言葉が出てきたら、それは水の流れ(水力)に関連するものだと判断するのが試験対策上の定石です。
揚力型と抗力型の違いを見分ける思考
風車の形状を覚える際は、その翼がどのように風を受けているかをイメージすると記憶が定着しやすくなります。
プロペラ形、ダリウス形、ジャイロミル形はいずれも揚力型と呼ばれます。これらは風の力で直接押されるのではなく、飛行機の翼のように風が流れることで生じる吸い寄せられる力(揚力)で回転します。そのため、風速よりも速い速度で回転できるのが特徴です。
一方で、もし選択肢にサボニウス形があれば、それは抗力型に分類されます。これは半分に切ったドラム缶をずらして組み合わせたような形状で、風に押される力(抗力)で回転します。
試験では、今回のように「風車ではないもの」を問うパターンのほかに、「垂直軸型はどれか」といった分類を問うパターンも想定されます。クロスフロー形が水車であるという知識を持っておくだけで、消去法が非常に有効に機能します。
発電設備の全体像を把握する重要性
第一種電気工事士の試験において、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーの設備に関する知識は、近年の出題傾向として非常に重要視されています。
現場において、電気工作物の維持・管理を行う際、その設備がどのような原理でエネルギーを変換しているのかを理解していることは、保守点検のポイントを把握する上での基礎となります。例えば、垂直軸型の風車であれば、水平軸型のような複雑な首振り機構(ナセル制御)が不要であるといった特性の違いが、設備の構成パーツの違いとして現れます。
この問題は、単に名称を暗記しているかを問うだけでなく、水力発電と風力発電という異なる発電方式の基本構成を混同せずに整理できているかを確認する、教育的な意図が含まれています。