第一種電気工事士試験 / 令和8年度上期 学科試験 / 問19
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令和8年度上期 学科試験 問19 解説 変電設備の機器

変電設備に関する記述として,誤っている ものは。

  1. イ. 変電所は,SF6ガスを用いた絶縁開閉装置(GIS)を使用し小型化が進んでいる。
  2. ロ. 空気遮断器は,発生したアークに圧縮空気を吹き付けて消弧するものである。
  3. ハ. 断路器は,送配電線や変電所の母線,機器などの故障時に電路を自動遮断するものである。 ✓ 正答
  4. ニ. 変圧器の負荷時タップ切換装置は,電力系統の電圧調整などを行うことを目的に組み込まれたものである。

解説

この問題は、変電設備を構成する主要機器の役割を正しく理解しているかを問うものです。特に「遮断器」と「断路器」の決定的な違い、つまり電流が流れている状態で回路を切り離せるか(消弧能力があるか)という点に着目すれば、誤りを含む選択肢を即座に特定できます。

遮断器と断路器の決定的な機能差

変電所や受電設備において、電路を開閉する機器にはいくつかの種類がありますが、最も重要なのは電流を遮断する能力の有無です。

断路器(DS: Disconnecting Switch)は、回路の点検や切り替えの際に、電路を確実に切り離すために使用されます。しかし、断路器にはアーク(火花放電)を消す機能(消弧機能)がありません。そのため、負荷電流が流れている状態で開くと、激しいアークが発生し、機器の損傷や作業者の感電・火傷につながる非常に危険な状態になります。ましてや、短絡事故などの故障時に流れる巨大な故障電流を自動遮断する機能は一切備えていません。

これに対し、故障電流を安全かつ確実に自動遮断するのは遮断器(CB: Circuit Breaker)の役割です。この二者の役割を混同させるのは試験の定番パターンです。

変電設備を支える各機器の特性

他の選択肢に示された機器の特性についても、正確に把握しておく必要があります。

SF6ガスを用いた絶縁開閉装置(GIS)

GIS(Gas Insulated Switchgear)は、遮断器、断路器、接地開閉器などの機器を金属容器の中に収め、絶縁性能が非常に優れたSF6(六ふっ化硫黄)ガスを充填した装置です。空気絶縁に比べて絶縁距離を劇的に短縮できるため、変電所全体の面積を大幅に縮小できるメリットがあります。都市部などの限られた敷地に変電所を建設する際には欠かせない技術です。

空気遮断器の消弧原理

遮断器が電流を切り離す際、接点間にアークが発生します。このアークをいかに早く消すかが遮断器の性能を決めます。空気遮断器(ABB: Air Blast Circuit Breaker)は、タンクに蓄えた圧縮空気をアークに勢いよく吹き付けることで、アークを冷却・飛散させて消弧します。現代ではガス遮断器(GCB)や真空遮断器(VCB)が主流ですが、原理的な知識として重要です。

負荷時タップ切換装置による電圧調整

変圧器は、巻き線の比率(タップ)を変えることで電圧を調整します。通常の変圧器は一度停電させなければタップを切り換えられませんが、負荷時タップ切換装置(LRT: Load Tap Changing Transformer)は、電力を供給したまま(負荷がかかったまま)タップを切り換えることができます。電力系統の電圧変動に応じてリアルタイムで電圧を一定に保つために、基幹変電所などで重要な役割を果たしています。

安全な運用のためのインターロック

実際の現場において、断路器の操作ミスは重大な事故に直結します。そのため、遮断器が「閉」の状態(電流が流れている状態)では断路器を操作できないようにし、逆に断路器が完全に「閉」になってからでなければ遮断器を「閉」にできないようにする物理的・電気的な仕組み(インターロック)が施されています。

この問題の教育的意図は、単に用語を覚えることではなく、電力システムの安全を担保するための「役割分担」を正しく理解することにあります。故障を止めるのは遮断器、安全を確認して切り離すのは断路器、という基本原則は、現場の安全管理においても最も基礎となる知識です。

参考リンク

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