令和8年度上期 学科試験 問24 解説 接地極の規格
地中に埋設又は打ち込みをする接地極として,不適切なものは。
- イ. 縦 900 mm × 横 900 mm × 厚さ 2.6 mm のアルミ板 ✓ 正答
- ロ. 縦 900 mm × 横 900 mm × 厚さ 1.6 mm の銅板
- ハ. 直径 14 mm 長さ 1.5 m の銅覆鋼棒
- ニ. 内径 36 mm 長さ 1.5 m の亜鉛めっき鋼管(厚鋼電線管)
解説
接地極として使用できる材料と寸法は、電気設備の技術基準の解釈によって明確に定められています。この問題では、材質そのものが認められていないものを見つけ出すことが最短の解法です。アルミニウムは腐食しやすいため、地中に埋設する接地極としては認められていません。
接地極として認められる材質と寸法の基準
接地極は、漏電などの異常時に故障電流を安全に大地へ逃がす役割を担います。そのため、長期間地中に埋設されても腐食しにくく、導電性を維持できる材質でなければなりません。具体的に認められている主な材料と寸法は以下の通りです。
- 銅板:厚さ 以上、大きさ (片面)以上
- 銅覆鋼棒(接地棒):直径 以上、長さ 以上
- 亜鉛めっき鋼管:外径 以上、長さ 以上
- 鋼板:厚さ 以上、大きさ (片面)以上
これら以外の材料、例えばアルミニウムなどは、土壌中の水分や成分による化学反応(電食など)で急激に劣化し、接地抵抗値が維持できなくなる恐れがあるため、規定に含まれていません。
各選択肢の妥当性を検討する判断プロセス
選択肢を一つずつ基準に照らし合わせることで、不適切なものを選別します。
イ. アルミ板:材質の時点で不適切です。寸法が大きくても、アルミニウムは土壌中で腐食しやすいため、接地極としては認められません。
ロ. 銅板:厚さ は基準の 以上を満たしています。大きさも であり、規定の ( 相当)を十分にクリアしています。
ハ. 銅覆鋼棒:直径 、長さ は、規定の数値そのものであり適切です。
ニ. 亜鉛めっき鋼管:基準では外径 以上とされています。この選択肢では内径 と示されていますが、内径が であれば外径は必ず を超えるため、基準を満たしていると判断できます。
なぜアルミニウムが接地極に使えないのか
アルミニウムは導電性が高く、送電線や電線管など、地上で使用される分には優れた材料です。しかし、地中に埋設される接地極としては致命的な欠点があります。
アルミニウムは酸素と反応して表面に酸化被膜を形成しますが、土壌の酸性度やアルカリ度、あるいは湿気に含まれる塩素イオンなどによって、この被膜が破壊されやすい性質を持っています。特に異種金属が近くにある場合や、電流が流れた際に発生する電食に対して非常に弱く、短期間でぼろぼろに腐食してしまいます。
接地極が腐食して断線したり、大地との接触面積が減ったりすると、万が一の事故の際に保護装置が正しく動作しなかったり、感電事故を引き起こしたりする危険があります。接地は目に見えない場所で安全を支える仕組みであるからこそ、信頼性の低い材料の使用は厳格に禁じられています。
確実な接地を実現するための技術的背景
この問題は、単に数字を暗記しているかどうかを問うだけでなく、電気設備における材料の適材適所を理解しているかを問うています。
第一種電気工事士が携わるような大規模な現場では、接地抵抗値を下げるために複数の接地極を連結したり、より耐久性の高い材料を選定したりする場面が多くあります。試験において「内径 の鋼管」のような少しひねった表現が出るのは、現場での設計図面や仕様書を読み解く際に、本質的な基準(この場合は外径 以上という条件)を応用できる能力が必要とされるからです。
接地極の施工は、一度埋設してしまうと後からの点検や交換が困難です。そのため、施工時に法規に基づいた正しい材料を選定することは、設備の生涯にわたる安全性を担保する最も重要な工程の一つと言えます。