令和5年度 下期 学科試験(午前) 問7 解説
図のような単相3線式回路で、負荷A、負荷Bはともに消費電力 800 W の抵抗負荷である。負荷電圧がともに 100 V であるとき、この配線の電力損失 [W] は。 ただし、電線1線当たりの抵抗は 0.5 Ωとする。
- イ. 32
- ロ. 64 ✓ 正答
- ハ. 96
- ニ. 128
解説
この問題は以下の3ステップで解くことができます。
- 各負荷に流れる電流 を求める。 より、
- 中性線に流れる電流を確認する。 負荷Aと負荷Bの消費電力が等しいため、平衡負荷とみなせます。平衡負荷の場合、中性線には電流が流れません。
- 外線2本分の電力損失を計算する。 電力損失 は、 で求められます()。
flowchart LR L1["外線L1: 8A"] --> A["負荷A 800W"] L2["外線L2: 8A"] --> B["負荷B 800W"] A -.打ち消し.-> N["中性線N: 0A"] B -.打ち消し.-> N L1 --> Loss["線路損失 I^2r"] L2 --> Loss
単相3線式回路の電力損失を理解するポイントは、電流の経路を正しく把握することです。
単相3線式は、2本の電圧線(外線)と1本の中性線で構成されます。今回のように上下の負荷が等しい(平衡している)場合、各外線から入ってきた電流は負荷を通って中性線に向かおうとしますが、対称な電流がぶつかり合うため、中性線の中では打ち消し合って電流がゼロになります。そのため、電力損失が発生するのは電流が流れている2本の外線部分のみとなります。
この考え方は、試験において「線路の電力損失」を問う問題の基本です。もし負荷が不平衡(例えばAが800W、Bが400Wなど)であれば、中性線にも電流が流れるため、その分を含めて計算する必要があります。しかし、第二種電気工事士の筆記試験では、今回のように「平衡負荷」として中性線電流を無視できるケースが頻出します。
計算ミスを防ぐコツは、まず「どの線に何アンペア流れているか」を回路図に書き込むことです。電力損失 はすべての配線に対して適用されるため、今回であれば外線2本分について、それぞれで発生する損失を足し合わせるというプロセスを機械的にこなせるようにしておきましょう。
この問題のパターンをマスターしておけば、より複雑な回路が出題された際にも、電流の向きと大きさを順に追うだけで正答にたどり着くことができます。