平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問1 解説 デファクトスタンダード
デファクトスタンダードの意味として,最も適切なものはどれか。
- ア 工業製品に関して,日本工業規格として定めたもの
- イ 工業や科学技術に関して,国際標準化機構が定めた規格
- ウ 特定の企業やグループなどが採用した仕様が広く利用されるようになり,事実上の業界標準になったもの ✓ 正答
- エ 特定の国や地域,企業などに限られた基準ではなく,世界中どこでも適用される規格
解説
「デファクト」という言葉が「事実上の」という意味であることを知っていれば、即座に正解を選べる問題です。公的な機関が定めた「ルールとしての標準」ではなく、市場での競争を経て「みんなが使うようになったから標準化したもの」を指している選択肢を探します。
事実上の標準と公的な標準の違い
この問題で重要なのは、デファクトスタンダード(De facto standard)と対をなす概念であるデジュールスタンダード(De jure standard)の区別です。
デファクトスタンダードは、ラテン語で「事実上の」を意味します。ある製品や技術が市場で圧倒的なシェアを獲得した結果、他社もそれに合わせざるを得なくなり、結果的に業界の標準となったものを指します。例えば、かつてのビデオテープ規格であるVHSなどは、市場での普及競争の結果としてデファクトスタンダードとなりました。
一方のデジュールスタンダードは「法的な・公的な」という意味で、ISO(国際標準化機構)やJIS(日本産業規格)のように、公的な機関が話し合いを経て決めた「公的標準」を指します。
選択肢の判断プロセス
この問題は、用語の定義を正確に暗記しているかを問うものです。
ア:日本工業規格(JIS)とあるため、これは公的標準であるデジュールスタンダードの説明です。誤りです。 イ:国際標準化機構が定めた規格とあるため、これもデジュールスタンダードの説明です。誤りです。 ウ:これが「事実上の業界標準」という定義そのものであり、正解です。 エ:世界中で適用される規格は「国際規格」と呼ばれますが、そのプロセスを問うものではないため、定義としては曖昧かつデファクトスタンダードの核心を突いていません。誤りです。
なぜこの知識が重要なのか
ITの現場では、どの技術を採用するかという判断がプロジェクトの成否に直結します。デファクトスタンダードになっている技術を採用すれば、関連ツールやノウハウが豊富に揃っており、開発コストを抑えたり、エンジニアの採用を容易にしたりすることができます。
試験においても、単に言葉の定義を知るだけでなく、「なぜ標準化が起きるのか」「標準化されるとどのようなメリット・デメリットがあるか」という視点を持つことが重要です。試験作成者は、技術の普及過程や市場競争のメカニズムを理解しているかどうかをこの用語を通して確認しています。