平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問10 解説 キャッシュフローの増加要因
キャッシュフローの増加要因となるものはどれか。
- ア 受取手形や売掛金などの売上債権の増加
- イ 器具や備品などの投資金額の増加
- ウ 製品在庫などの棚卸資産の増加
- エ 短期や長期の借入金の増加 ✓ 正答
解説
キャッシュフローの増減は、現金の流れが手元に入ってくるか、出ていくかという視点で判断します。「借入金」は銀行などから現金を受け取る行為であるため、現金の増加要因となります。一方、他の選択肢はすべて現金の流出(または帳簿上の売上の計上があっても現金が未回収である状態)を意味するため、誤りとなります。
キャッシュフローを理解するための基本ルール
企業活動におけるキャッシュフローとは、現金の入り(インフロー)と出(アウトフロー)のことです。キャッシュフロー計算書では、大きく分けて「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの区分で現金の動きを記録します。
今回の問題の選択肢をこの区分に当てはめると、構造が見えてきます。
・売上債権の増加(営業活動):売上は計上されたが、代金がまだ回収できていない状態です。売上が増えても現金は入ってきていないため、キャッシュフローとしてはマイナス要因になります。 ・投資金額の増加(投資活動):新しい機械や備品を購入すると現金が減るため、マイナス要因になります。 ・棚卸資産の増加(営業活動):製品を仕入れたり作ったりして在庫を抱えることは、現金を使ってモノを確保することであるため、マイナス要因になります。 ・借入金の増加(財務活動):銀行からお金を借りると、口座に現金が入ってきます。これは「資金調達」と呼ばれ、キャッシュフローをプラスにする要因です。
なぜこの問題が重要なのか
ITパスポート試験においてキャッシュフローの知識が問われる背景には、企業における「黒字倒産」という現象の理解が不可欠だからです。利益が出ていても、手元の現金(キャッシュ)が足りなければ企業は倒産します。
この問題は、帳簿上の数字(売上や資産)と、実際に動いている現金(キャッシュ)は別物であるという経営の基本原則を問うています。特にIT業界では、システム開発案件において開発コストが先行して発生し、売上が入金されるのが数ヶ月後になるというケースが多々あります。このような現場で働く際、現金の動きを意識できるかどうかがビジネスパーソンとしての視座の高さに直結します。
経営判断における現金の役割
経営者は常に「今の資金で次の投資ができるか」を考えています。借入金による資金調達は、将来的な返済義務を伴いますが、短期的には現金を増やし、事業拡大や緊急時の支払いに充てるための重要な選択肢です。
試験対策としては、単に「キャッシュフロー=現金の動き」と覚えるだけでなく、「自分たちが今持っている現金はどこから来て、どこへ消えるのか」という川の流れをイメージしながら、それぞれの項目がプラスに働くかマイナスに働くかを分類できるようにしておくと、他の応用問題にも対応しやすくなります。