平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問12 解説 ビジネス戦略の策定手順
A社では企業理念に基づいてビジネス戦略を策定し実行するための手順を考えた。 重要成功要因の抽出, ビジネス環境の分析, ビジネス戦略の立案, ビジョンの設定を 図のように順序付けて行うとき, 図の④で行うものはどれか。
- ア 重要成功要因の抽出
- イ ビジネス環境の分析
- ウ ビジネス戦略の立案 ✓ 正答
- エ ビジョンの設定
解説
ビジネス戦略を策定する際は、まず大きな方向性を定め、次に現状を分析し、目標達成のための鍵を見極め、最後に具体的な戦術へ落とし込むという論理的な順序があります。この順序に従って各項目を配置することで、設問の④がビジネス戦略の立案であると導き出せます。
成功に導くための戦略策定プロセス
企業が戦略を立てる際、一般的には以下のステップを踏みます。
- ビジョンの設定(①) 企業がどのような姿を目指すのか、中長期的なあり方(理念や目標)を最初に決めます。これが全ての出発点です。
- ビジネス環境の分析(②) 目指すべき方向が決まったら、自社を取り巻く市場や競合、自社の強み・弱みなどを分析します。PEST分析やSWOT分析などが用いられる段階です。
- 重要成功要因の抽出(③) 環境分析の結果を踏まえ、目標を達成するために最も注力すべきポイント(KSF: Key Success Factor)を特定します。何が成功のカギを握っているのかを見極めます。
- ビジネス戦略の立案(④) KSFに基づき、具体的な競争優位を築くための戦略を策定します。その後、その戦略を実行するための具体的な計画(実行計画策定)へと続きます。
論理の流れを組み立てる力
この問題を解くためのポイントは、各要素を単なる用語として覚えるのではなく、ビジネスの論理的な「流れ」として捉えることです。
まず、旗印となるビジョンがなければ、何を分析すべきかが決まりません。次に、分析なしに重要事項を決定することはできません。そして、重要事項が定まって初めて、それを達成するための具体的な戦略が組めます。この「大枠から詳細へ」と進む階層構造をイメージできるようになると、並び替え問題やプロセスを問う問題で迷わなくなります。
実務における戦略の重要性
ITパスポートでこの知識を問う背景には、システム導入もまたビジネス戦略の一部であるという考え方があります。
例えば、新しい基幹システムを導入する際、「会社のビジョン(効率化か、新規顧客開拓か)」が曖昧なまま進めると、プロジェクトは失敗します。環境分析(現場の業務課題)を行い、システムの成功要因(ユーザーの定着率など)を特定してから戦略(導入計画)を立てる必要があります。
このように、このプロセスは小規模な業務改善から大規模な経営計画まで、あらゆる場面で「なぜ今それを行うのか」という根拠を明確にするためのフレームワークとして活用できます。戦略とは単なる思いつきではなく、プロセスを踏んだ論理的な組み立てであることを理解しておきましょう。