平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問19 解説 要件定義プロセス
要件定義プロセスに含まれる作業はどれか。
- ア システム化計画の作成と承認
- イ システム詳細設計の実施
- ウ システム投資効果とシステム化費用の予測
- エ システム利用者のニーズの整理 ✓ 正答
解説
この問題は、システム開発の全体像である「共通フレーム(システム開発ライフサイクル)」のどの工程にどの作業が含まれるかを識別できるかが鍵となります。
「要件定義」という言葉から、システムを実際に作る前の「何が欲しいか」「何ができるべきか」という要望を整理する工程だとイメージできれば、選択肢エが正解であると導き出せます。
開発プロセスの全体像
システム開発は、いきなりプログラムを書くわけではありません。大きな流れとして、まず「そもそも何を作るのか(企画)」から始まり、「具体的に何をさせるのか(要件定義)」、「どうやって作るのか(設計)」、「作る(開発・実装)」、「確認する(テスト)」という順序で進みます。
今回の選択肢に含まれる各工程は、以下のように分類されます。
- 企画プロセス:システム化計画の作成、投資対効果の予測(選択肢ア、ウ)
- 要件定義プロセス:利用者のニーズの整理、システムの機能・性能の明確化(選択肢エ)
- 設計プロセス:システム詳細設計(選択肢イ)
選択肢を仕分ける判断基準
試験では「システム化の全体流れ」を問う問題が頻出します。ここで重要なのは、作業の目的を考えることです。
・選択肢アとウ(企画プロセス):システムを作るかどうかを決める段階です。お金をどれくらいかけるか、どのくらいの利益が見込めるかといった「経営的な判断」が含まれます。 ・選択肢イ(設計プロセス):要件定義で決まった「何を作るか」に対して、それを「どのように実現するか(画面の設計やデータベースの構造など)」という技術的な解決策を詰め込む段階です。 ・選択肢エ(要件定義プロセス):開発者と利用者の間で「認識のズレ」をなくすことが最大の目的です。「利用者は何に困っていて、システムでどう解決したいか」を定義します。
実務現場における要件定義の重要性
実務において要件定義は、プロジェクトの成否を分ける最も重要なフェーズです。ここで利用者のニーズを正確に言語化しておかないと、後の工程で「作りたかったものと違う」という手戻りが発生し、コストや時間が大幅に膨らんでしまいます。
ITパスポートでこの知識が問われるのは、システム開発がいかに「コミュニケーションと調整」に依存しているかを理解させる意図があるからです。技術的なプログラミングスキルも大切ですが、それ以前の「何が正解かを定義する力」こそが、ITエンジニアやシステムを利用する側双方にとって必須のスキルとなります。