平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問18 解説 管理会計の特徴
企業会計を財務会計と管理会計に分類したとき,管理会計の特徴を表したものはどれか。
- ア 一会計期間ごとに決算を行い,貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成が 強制される。
- イ 企業の経営者が,株主や債権者などの企業外部の利害関係者に対して会計報告を 行う。
- ウ 財務諸表規則や企業会計原則,各種会計基準などの会計法規に準拠した会計処理 を行う必要がある。
- エ 部門,製品,地域別などの予算統制,利益管理,業績評価など,経営判断のため の内部報告書を作成する。 ✓ 正答
解説
管理会計と財務会計は対照的な存在です。「外部向けか、内部向けか」という一点を見抜けば正解を選べます。
外部報告か、内部活用か
会計は大きく「財務会計」と「管理会計」に分けられます。この二つを見分けるキーワードは「誰に向けたものか」と「ルールがあるか」です。
財務会計は、投資家や銀行など、会社のお金の状況を知りたい「外部の人」に向けて、会社の経営成績を報告するためのものです。そのため、誰が見ても同じ基準で評価できるよう、法律や会計基準といった厳しいルール(企業会計原則など)に従うことが義務付けられています。
一方で管理会計は、会社の経営陣(マネージャー層)が「今の経営状態はどうなっているか」「どの製品が一番儲かっているか」「来期はどこに投資すべきか」を判断するための「社内向け」の資料です。経営判断に使うためのものなので、特定の法律で作成が強制されることはなく、会社が自由に形式を決められます。
選択肢を分析する
この問題は、以下の対比構造で考えるとスムーズに整理できます。
・選択肢ア、イ、ウ:これらは「財務会計」の説明です。「財務諸表(貸借対照表や損益計算書)の作成」「外部の利害関係者への報告」「会計法規への準拠」という言葉が出てきたら、それは財務会計の特徴です。
・選択肢エ:これが「管理会計」の説明です。部門ごとの損益計算や予算管理は、会社という組織を動かすための意思決定に使われる内部データです。目的が「経営判断」であるという点が、管理会計の決定的な特徴です。
経営の羅針盤としての管理会計
管理会計の知識は、ITパスポートの試験勉強だけでなく、実務でも非常に重要です。
たとえば、システム開発のプロジェクトを管理する場面を想像してください。システム開発という事業において、「どの機能の開発にいくらかかっているのか」「このプロジェクトは赤字か黒字か」を把握しなければ、会社は正しい経営判断を下せません。管理会計的な視点を持つことで、エンジニアであっても「この機能を実装するためにコストをかけすぎではないか」といったコスト意識を持つことができます。
このように、管理会計は経営層だけでなく、組織で働くすべての人が自らの業務の価値を測るための羅針盤となります。試験においては、「管理会計=社内向け・自由形式・経営判断のため」というキーワードのセットで覚えておきましょう。