平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問25 解説 システム化計画
ソフトウェアライフサイクルプロセスにおいて, システム化計画の立案で行うべき作業はどれか。
- ア 経営要求, 課題の確認
- イ システム要件の定義
- ウ 導入の費用対効果の予測 ✓ 正答
- エ ベンダ企業の評価基準の作成
解説
システム化計画とは、経営戦略に基づいてどのようなシステムを構築するかを決める「最初の検討段階」です。このフェーズでは、システムを作ることによるメリットとコストを比較し、プロジェクトを実行に移すべきかどうかの意思決定を行うため、費用対効果の予測が不可欠となります。
システム化計画における役割
ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP)の全体像において、システム化計画は最上流に位置します。いきなり「何を作るか(要件定義)」を考える前に、「そもそも、その投資には意味があるのか?」という経営視点での判断が求められます。
経営課題を解決するために必要なシステム像を具体化し、それにかかる費用(開発費、運用費)と、それによって得られる利益や業務効率化の度合いを数値として算出することが、この段階の主要なタスクです。
選択肢の判断プロセス
なぜ他の選択肢が不適切なのか、工程の前後関係を整理して考えると答えが見えてきます。
・ア 経営要求や課題の確認:これはシステム化計画を立てる「前提」となる情報です。計画の作業内容というよりは、計画に着手するためのインプットにあたります。 ・イ システム要件の定義:これはシステム化計画が承認された後に進む「要件定義」プロセスの主作業です。計画の段階で詳細な要件まで決めてしまうと、手戻りのコストが膨大になります。 ・エ ベンダ企業の評価基準の作成:これは「調達」プロセスの準備段階で行われる作業です。システム化計画で方針が固まり、予算が確保された後の検討事項です。
経営に直結する判断能力
この問題が問うているのは、システム開発を単なる「プログラミング作業」としてではなく、「ビジネス投資」として捉える視点です。
実際のビジネス現場では、限られた予算とリソースをどのプロジェクトに割り当てるかを経営層が判断する必要があります。その際に、IT部門の担当者が「このシステムを導入すれば、年間これだけのコスト削減が見込めます」と根拠を持って説明できなければ、重要なプロジェクトが予算承認を得られないこともあります。
ITパスポートでこの知識を問う意図は、ITの技術面だけでなく、システムを導入する目的や経済的合理性を理解しているかを確認することにあります。この考え方は、将来あなたがDX推進やシステム導入の提案を行う際、経営層を説得するための強力な武器になります。