平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問30 解説 作業工数の計算
ある作業を6人のグループで開始し,3か月経過した時点で全体の50%が完了していた。残り2か月で完了させるためには何名の増員が必要か。ここで,途中から増員するメンバの作業効率は最初から作業している要員の70%とし,最初の6人のグループの作業効率は残り2か月も変わらないものとする。
- ア 1
- イ 3
- ウ 4
- エ 5 ✓ 正答
解説
作業全体の量を100単位と考え、必要な「作業力」を逆算して解きます。
- 3か月で50単位終わったので、残り2か月で「残りの50単位」を終わらせる必要があります。
- つまり、残り期間は毎月25単位の作業力が必要です。
- 現在の6人はそのまま作業し、1人あたり「1」の効率だとすると、6人分で毎月6単位の作業力があります。
- 不足しているのは、毎月「25 - 6 = 19」単位分の作業力です。
- 新しく加わる人の効率は「0.7」なので、人数を とすると となります。
- となり、28人必要と判断しそうになりますが、問題文の意図を再検討します。
作業量と人員配置の考え方
この問題のポイントは、全体の作業量を具体的に数値化して、不足分をどう補うかという計算式を立てることです。
まず、最初の6人が3か月間で50%を完了させたことから、6人による1か月あたりの作業量は となります。 次に、残りの50%を2か月で完了させるためには、1か月あたり の作業量が必要です。
ここで、6人体制のままでは作業量が足りません。必要な作業量「25」と現状の作業量「16.66...」の差分である「8.33...」を、新規追加メンバーだけで補う必要があります。 新規メンバー1人あたりの効率は、既存メンバーを1とした場合の0.7倍です。既存メンバーの1人あたりの効率は なので、新規メンバー1人の1か月あたりの作業量は となります。
不足分を補う人数 は以下の式で求められます。
人数は切り上げて考える必要があるため、5名の増員が正解となります。
計画の遅延を挽回するシミュレーション
このような計算は、ITプロジェクトの現場で進捗管理を行う際に必須となるスキルです。開発現場では「進捗が遅れているので、人を追加して巻き返そう」という判断がなされることがありますが、単純に人数を増やせば作業効率が比例して上がるわけではありません。
この問題では、途中から参加するメンバーの習熟度や環境適応の観点から「効率が70%に落ちる」という条件が与えられています。実際の現場でも、既存メンバーのサポートやタスクの引き継ぎなどにより、新規メンバーが即戦力としてフルパワーで動けるとは限りません。このような制約条件を組み込んで計算することで、より現実的で精度の高いスケジュール調整が可能になります。
プロジェクトマネジメントの基礎知識
ITパスポート試験で問われるこの種の問題は、プロジェクトマネジメント知識体系(PMBOK)における「工数管理」の概念に基づいています。 限られた期間内に完了させるためには、以下の3つの要素を調整する必要があります。
- スコープ(作業範囲)
- スケジュール(期間)
- コスト(要員などのリソース)
今回はスケジュールと要員を調整するケースでしたが、実際には人員を増やすと「コミュニケーションコスト」が増大し、かえって効率が落ちる「ブルックスの法則」という有名な概念も存在します。試験問題では単純化された数値で計算を行いますが、実務では単なる足し算・引き算だけでなく、組織としての生産性の低下リスクも考慮しなければなりません。