平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問35 解説 SLAの項目
SLAに含めることが適切な項目はどれか。
- ア サーバの性能
- イ サービス提供時間帯 ✓ 正答
- ウ システムの運用コスト
- エ 新規サービスの追加手順
解説
SLA(サービスレベル合意書)に関する問題では、サービス品質の客観的な基準であるかどうかを見極めることが正解への近道です。サービス提供者と利用者の間で、何を「正常な状態」とするか、その具体的な指標が定められている選択肢を選びましょう。
SLAとは何か
SLA(Service Level Agreement)とは、ITサービスの提供者と利用者の間で交わされる「サービス品質についての合意書」です。ここでいう品質とは、抽象的な満足度ではなく、稼働率や応答時間のように「数値化・測定可能な指標」を指します。
もしサービスが停止したり、著しく動作が遅かったりした場合、どの程度の水準であれば許容され、どの程度を超えたら契約違反となるのかという基準を明確にしておくことが目的です。これにより、提供者は責任範囲を限定でき、利用者は期待するサービス水準を保証してもらえるようになります。
選択肢の判断基準
SLAに含めるべき項目は、客観的かつ定量的に測定できるものです。
イの「サービス提供時間帯」は、システムがいつ利用可能なのかという、まさにサービス品質の根幹となる指標であり、SLAに含めるべき項目です。
一方、他の選択肢が不適切な理由は以下の通りです。
アの「サーバの性能」は、処理能力やメモリ量などのスペックを指します。これ自体はSLAに書かれることもありますが、単に性能を羅列するのではなく「処理能力を維持する」といった具体的なサービス水準として記述する必要があります。文脈として提供時間帯のような合意事項より優先度が低く判断されることがあります。
ウの「システムの運用コスト」は、契約上の金額や予算に関する事項であり、品質そのものではありません。これはSLAではなく、別のサービス契約書や見積書で扱うべき内容です。
エの「新規サービスの追加手順」は、運用のプロセスや手順に関する事項です。SLAは「結果としての品質」を保証するものであり、「どうやって作業するか」というプロセスは運用の手順書や計画書に含まれるべき内容です。
SLAがビジネスで果たす役割
ITパスポートでこの知識を問う意図は、ITシステムを導入・運用する際に、ベンダーとどのような約束を交わすべきかを理解させることにあります。
例えば、クラウドサービスを導入する場合、24時間365日の稼働を期待していても、SLAに「平日の9時から17時までのみサポートする」と記載されていれば、夜間の障害対応は保証されません。実務では、SLAの内容を確認せずにシステムを導入してしまい、トラブルが発生した際に「聞いていた話と違う」といった事態を避けるために、この概念を理解しておく必要があります。IT部門の担当者だけでなく、システムを業務で利用する側の人間にとっても、自分たちが享受できるサービス範囲を知るために極めて重要な知識です。