平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問89 解説 DFDの構成要素
S社の販売管理業務をDFDで表すとき、次の図のa, bに入る適切な字句の組合せはどれか。 注 網掛けの部分は、表示していない。
- ア. 営業担当者 受注処理
- イ. 出荷管理ファイル 倉庫担当者
- ウ. 受注管理ファイル 出荷処理 ✓ 正答
- エ. 受注処理 受注管理ファイル
解説
この問題は、DFD(データフロー図)の基本記号である「図形と意味の対応」を正しく把握できれば、即座に解答を導き出せます。
aはデータが保存される場所(データストア)を示す「平行線」の形をしており、bは処理が行われる場所(プロセス)を示す「円」の形をしています。選択肢の中で、aに「ファイル」、bに「処理」という言葉が入っているのはウだけであるため、これが正解となります。
DFDの基本ルール
DFDは、システムの中をデータがどのように流れるか、また、どの場所でどのような処理が行われるかを視覚的に表現した図です。試験で問われる基本記号は以下の4つです。
- 円:処理(プロセス)。データを変換したり、加工したりする場所を指します。
- 平行線:データストア(ファイル)。注文データや顧客リストなど、データが保存される場所を指します。
- 四角形:外部実体。システムの外側にあるもの(顧客や取引先など)で、データの供給元や受け取り先を指します。
- 矢印:データフロー。データの流れる方向を示します。
今回の図では、顧客という「外部実体」から注文依頼というデータが送られ、まず何らかの処理を経てaに格納されます。その後、bという処理を通るという自然な業務の流れが構成されています。
業務の流れから論理的に考える
この問題は単なる用語の暗記ではなく、実務の業務プロセスを想像できるかどうかが鍵になります。
販売管理の業務を順を追って考えると、以下のようになります。
- 顧客から注文を受ける。
- 注文内容をシステムに登録する。
- 登録された情報を基に、在庫の引き当てや出荷の指示を出す。
図において、aは保存先であり、bはそのデータを使って何かを行う役割です。業務プロセス上、「受注データを保存する場所(受注管理ファイル)」にデータが格納され、その後に「出荷のための準備をする場所(出荷処理)」へつながるという流れは非常に論理的です。もし他の選択肢を当てはめると、処理とファイルが逆転したり、役割が不明瞭になったりするため、業務の流れとして成立しません。
システム開発におけるDFDの活用
DFDは、複雑な業務システムを開発する際の「設計図」の役割を果たします。システムエンジニアが顧客からヒアリングを行い、どのようなデータがどのタイミングでどこに保存され、最終的にどのようなアウトプットになるのかを整理する際に使われます。
ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、システムがどのような構造で動いているのか、開発の全体像を俯瞰するスキルが求められているからです。実務においては、この図を基にして、データベースのテーブル設計や、必要な画面・帳票の機能を具体化していくことになります。システム全体を理解する第一歩として、この「情報の流れ」を可視化する手法は非常に重要です。