平成21年度 秋期 ITパスポート試験 問94 解説 バブルチャートの分析
売上の分析に当たっては,売上総利益率と商品回転率がともに高い商品が,販売 効率が良く利益の上がる良い商品と判断される。そこで,販売効率を示す指標と売 上高を視覚的に確認するために,各商品の売上高,売上総利益率及び商品回転率の 関係を次の図のようなバブルチャートにして表した。この図を分析した内容として, 適切なものはどれか。
- ア “商品え”は,薄利多売で利益を上げている商品であり,利益を維持するためには品切れが起こらないよう商品管理に注意する必要がある。
- イ “商品か”は,売上高は少ないが最も販売効率が良いので,現状維持でよい。
- ウ “商品く”は,売上高は多くないが,余分な在庫が少なく,利益が大きいので,売上を増やす工夫をすれば効率よく利益の増加が図れる。 ✓ 正答
- エ “商品こ”は,販売数量は少ないが価格の高い高級商品であり,幅広い顧客層を維持するためには大切な商品である。
解説
この問題は、バブルチャートの「横軸」「縦軸」「バブルの大きさ」がそれぞれ何を意味しているかを正しく対応させ、各商品の位置関係から経営的な意味を読み取ることで解決します。
バブルチャートの読み解き方
この図では以下のルールでデータが配置されています。
- 横軸:売上総利益率(右に行くほど利益率が高い)
- 縦軸:商品回転率(上に行くほど商品が素早く入れ替わっている)
- バブルの大きさ:売上高(大きいほど売上規模が大きい)
「商品く」の位置を見ると、横軸(利益率)と縦軸(回転率)がともに右上の高い位置にあります。つまり、利益効率が良い商品です。しかし、バブルの大きさ(売上高)は比較的小さいため、「効率は最高だが、まだ売れる余地が残っている商品」と判断できます。したがって、ここを伸ばす施策をとれば、全体の利益を効率よく押し上げられるという選択肢ウが最適です。
経営分析に必要な3つの指標
商品戦略を考える際、以下の指標の組み合わせは非常に重要です。
売上総利益率とは、売上高に対する利益の割合です。高いほど1つ売った時の儲けが大きいことを示します。
商品回転率とは、在庫が一定期間に何回入れ替わったかを示す指標です。高いほど在庫が滞留せず、効率よく売れていることを意味します。
これらを掛け合わせたバブルチャートは、製品ポートフォリオ管理(PPM)を簡易的に行う手法の一つです。単に「売上が大きいから良い」と判断するのではなく、「効率(回転率・利益率)」と「規模(売上高)」の両面を見ることで、今後の打ち手を明確にします。
なぜ他の選択肢が不適切なのか
選択肢の内容をチャートから読み取れる事実と照らし合わせると、誤りが明らかになります。
アの「商品え」は、バブルが非常に大きく売上高が高い商品ですが、利益率が比較的高い位置にあります。薄利多売ではなく、主力商品として安定した利益を生んでいる状態と見るのが適切です。
イの「商品か」は、チャートの下の方にあるため、商品回転率が低い、つまり在庫が停滞しやすい商品です。売上高も小さいため、現状維持ではなく、取り扱いを減らすなどの見直しが必要です。
エの「商品こ」は、回転率や利益率のバランスを見る限り、必ずしも高級品という断定はできません。また、バブルの大きさから見て売上高は中程度ですが、この指標だけで「幅広い顧客層を維持するために大切」と断言するのは飛躍しています。
ビジネス現場での活用場面
この分析手法は、小売店の商品管理だけでなく、IT企業のサービスポートフォリオ管理にも使われます。例えば、どのクラウドサービスに注力し、どのサービスを撤退させるかを決める際、「粗利は高いが売上規模が小さいプロダクト」を見つけ出し、マーケティング予算を集中投下する判断材料にします。
このように、データを図解して客観的な状況把握を行うことは、効率的な経営資源の配分を行うための第一歩です。