平成21年度 春期 ITパスポート試験 問5 解説 CRM
情報技術を利用して顧客に関する情報を収集, 分析し, 長期的視点から顧客と良好 な関係を築いて自社の顧客として囲い込み, 収益の拡大を図る手法はどれか。
- ア BSC
- イ CRM ✓ 正答
- ウ ERP
- エ PPM
解説
この問題は、キーワードの「顧客」「関係を築く」「囲い込み」に注目すれば、CRM(Customer Relationship Management)を一発で導き出せます。選択肢にあるアルファベットの略語は紛らわしいものが多いですが、それぞれの単語の意味を分解すれば迷うことはありません。
顧客管理の本質とは
CRMは「顧客関係管理」と訳されます。単に顧客の連絡先をリスト化するだけでなく、購買履歴や問い合わせ内容などの情報を一元管理し、一人ひとりの好みに合わせたアプローチを行うことで、ファンになってもらうための手法です。
一度きりの取引で終わらせるのではなく、長期的に自社の商品やサービスを利用してもらう「LTV(顧客生涯価値)」の最大化が最終的なゴールです。現代のビジネスでは、新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの数倍かかると言われており、CRMは収益を安定させるための非常に重要な戦略となっています。
消去法で選択肢を整理する
試験で他の選択肢と混同しないためには、それぞれのアルファベットが何を指しているのか、役割を整理しておきましょう。
BSC(Balanced Scorecard:バランスト・スコアカード) 企業活動を「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」という4つの視点から評価し、戦略を具体化する業績管理手法です。
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画) 会計、人事、生産、販売など、企業の基幹業務を一元化し、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を最適化するシステムです。
PPM(Product Portfolio Management:製品ポートフォリオ管理) 自社の事業や製品を「市場の成長率」と「市場占有率(シェア)」の軸で4つの分類(花形、金のなる木、問題児、負け犬)に分け、どこに経営資源を集中させるべきかを判断するための手法です。
なぜこの知識が問われるのか
この問題は、情報システムが単なる事務効率化の道具ではなく、企業の利益を直接生み出す「戦略的な武器」であることを理解しているかを確認しています。
例えば、スーパーマーケットのポイントカードや、ネット通販の「おすすめ商品」の表示は、まさにCRMの仕組みそのものです。企業が収集したデータから「この人は次に何を買いたくなるか」を予測してアプローチをかけることで、顧客満足度を上げつつ自社の売上を伸ばす、という現代のビジネスモデルの基礎を学ぶことができます。ITパスポートの試験範囲としては、単に用語を暗記するだけでなく、そのシステムがビジネスの現場でどのような成果をもたらすのかという「目的意識」を持つことが合格への近道です。