平成21年度 春期 ITパスポート試験 問6 解説 SaaS
SaaSを説明したものはどれか。
- ア コンピュータ設備の利用をサービスとして提供し, 使用料を課金する。
- イ 情報システム部門の機能の一部を受託し, 業務委託料を課金する。
- ウ ソフトウェアの機能を複数の企業にインターネット経由でサービスとして提供し, 使用料を課金する。 ✓ 正答
- エ ソフトウェアをダウンロードさせる対価としてライセンス料を課金する。
解説
SaaSを特定するポイント
この問題を解くための鍵は、SaaS(Software as a Service)という用語を構成する「Service(サービス)」と「Software(ソフトウェア)」という言葉に注目することです。
SaaSは、ソフトウェアを「所有(購入)」するのではなく、ネットワークを通じて「利用(サービス提供)」する形態を指します。選択肢の中から「インターネット経由で」「ソフトウェアの機能を」「サービスとして提供する」という要素をすべて含んでいるものを選ぶのが正解への最短ルートです。
ソフトウェアの利用形態を分類する
SaaSを理解するには、まずクラウドコンピューティングにおける主要な提供形態を知る必要があります。これらは、どこまでの機能をサービス提供側(ベンダー)が担うかによって区分されます。
SaaSは、利用者が最も手軽に使える形態です。利用者はWebブラウザなどを使って、サーバー上で動いているアプリケーションをそのまま操作します。これに対し、開発環境そのものを貸し出すのがPaaS(Platform as a Service)、OSやハードウェアなどのインフラを提供するのがIaaS(Infrastructure as a Service)です。これらをまとめてクラウドサービスと呼び、現代のシステム導入における主流となっています。
選択肢を読み解く思考法
各選択肢を検討する際は、サービスの実体と提供方法を確認します。
アの「コンピュータ設備の利用」は、ハードウェアのリソース(サーバーや回線など)を指しており、これはIaaSの記述に近いです。 イの「情報システム部門の機能の一部を受託」は、アウトソーシング(業務委託)の説明であり、IT技術によるサービス提供とは区別されます。 エの「ソフトウェアをダウンロードさせる」という形態は、従来のパッケージ販売やダウンロード販売に該当します。これらは購入後に自分のコンピュータへインストールするため、SaaSのように「インターネット経由で常にサーバー上の最新機能を利用する」形態とは異なります。
ウだけが、SaaSの本質である「ソフトウェアそのものを手元に置くのではなく、ネットワーク越しに機能を利用し、その対価を払う」という構造を正しく説明しています。
なぜこの知識が重要なのか
実務においてSaaSは、業務効率化やコスト削減を目的として頻繁に採用されます。例えば、GmailやMicrosoft 365(旧Office 365)、チャットツールのSlackなどが代表例です。
これらのサービスは、ユーザー側でソフトウェアのアップデートやサーバーの管理を行う必要がありません。ITパスポート試験でこの知識を問う意図は、将来ITに関わる立場で「自社でサーバーを構築・保守すべきか、それとも既存のSaaSを活用すべきか」という比較検討能力を養うことにあります。クラウド化のメリットとデメリットを理解しておくことは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する現代のビジネスマンにとって必要不可欠な基礎教養と言えます。