平成21年度 春期 ITパスポート試験 問7 解説 期待値の計算
いずれも時価 100 円の四つの株式があり, そのうちの一つに投資したい。経済の成長が高成長, 中成長, 低成長の場合, それぞれの株式の予想値上がり幅が表のとおりであるとき, 値上がり幅の期待値が最も高い株式はどれか。ここで, 高成長, 中成長, 低成長になる確率はそれぞれ 0.4, 0.4, 0.2 であり, 経済が成長しない場合は考えないものとする。
- A
- B ✓ 正答
- C
- D
解説
期待値の計算式「」を各ケースで足し合わせることで、選択肢ごとの期待値を算出します。
各株式の期待値計算は以下の通りです。
- 株式A:
- 株式B:
- 株式C:
- 株式D:
結果として、期待値が21で最も高い株式Bが正解となります。
期待値という指標の仕組み
期待値とは、ある事象が起こる確率とその時に得られる結果(値)を掛け合わせ、すべて合計したものです。統計学や確率論において、不確実な状況下で「平均的にどの程度の成果が見込めるか」を判断する際に用いられます。
計算式を一般化すると、 となります。今回の問題では、成長の度合いという異なるシナリオがそれぞれ一定の確率で発生すると仮定し、それぞれのシナリオにおける値上がり幅を重み付けして平均化しています。
判断の進め方
この問題を解く際は、表の行ごとに計算を完結させ、最後に数値を比較します。
- 問題文から確率(0.4, 0.4, 0.2)を抜き出し、各株式の数値と掛け合わせるペアを作る。
- 小数を含む計算でミスをしないよう、必要に応じて 倍して整数にしてから計算し、最後に元に戻すなどの工夫を行う。
- すべての計算結果が出揃ったら、最も大きい数値を持つ選択肢を選ぶ。
注意点として、株式Dのようにマイナスの値(損失)が含まれる場合、計算結果から正しく数値を減算する必要があります。符号の扱いはケアレスミスが起きやすいポイントです。
不確実な意思決定への活用
この知識は、単なる試験問題の解法にとどまらず、ビジネスにおける意思決定支援で頻繁に活用されます。例えば、新しいプロジェクトの投資対効果(ROI)を予測する際、市場の動向が「好調」「停滞」「不調」の3パターンに分かれると予測される場合、それぞれの発生確率を乗じて期待値を算出することで、直感に頼らない合理的な判断が可能になります。
ITパスポート試験でこのテーマが問われる背景には、ITシステム開発におけるリスク管理やコスト見積もりの考え方が含まれています。ITの現場でも、プロジェクトが成功する確率と失敗する確率、それぞれのケースで発生するコストを予測して「期待値」を計算することは、プロジェクト管理の要となります。この問題は、データに基づいた定量的な分析力があるかを確認するための基礎的なリトマス試験紙といえます。