平成21年度 春期 ITパスポート試験 問11 解説 業務プロセスモデル
業務プロセスのモデルを説明したものはどれか。
- ア システム開発でプログラム作成に必要なデータ,機能などを記載したもの
- イ システム開発を外部委託するときの提案依頼に必要な条件を明示したもの
- ウ システム化の対象となるビジネスの活動やデータの流れを明示したもの ✓ 正答
- エ システムの開発,運用,保守に必要な組織,資源などを記載したもの
解説
業務プロセスモデルを見抜くポイント
業務プロセスとは「仕事の手順」のことです。「モデル」とはその構造を簡略化して表したものを指します。選択肢の中から、「業務(仕事)の流れ」や「データのやり取り」といったキーワードを探すのが正解への最短ルートです。
業務プロセスモデルの正体
業務プロセスモデルは、企業で行われている業務を可視化するための手法です。システム開発の現場では、いきなりプログラムを書くのではなく、まず「現場の業務がどのように進んでいるのか」を正確に把握する必要があります。
例えば、注文を受けてから商品を発送するまでの流れを考えてみてください。
- 注文書を受け取る
- 在庫を確認する
- 倉庫にピッキングを指示する
- 発送伝票を作成する
このように、誰が・何を・どのような順序で処理しているのかを明確にすることが業務プロセスの可視化です。これを行うことで、「どの作業がボトルネックになっているか」「どの手順をシステム化すれば効率が上がるか」を客観的に検討できるようになります。
正解へたどり着くための思考プロセス
この問題を解くには、選択肢の言葉と、それがシステム開発工程のどこに対応しているかを照らし合わせるのが有効です。
アは、プログラムの設計に関することです。これは「データフロー図(DFD)」や「クラス図」などの設計図に近い記述です。 イは、RFP(提案依頼書)の定義そのものです。外部委託先へ条件を伝えるための書類であり、業務そのもののモデルではありません。 ウは、業務の流れとデータの流れの両方に触れており、まさに業務プロセスモデルの定義と一致します。 エは、プロジェクトマネジメント計画書や体制図に近い内容です。
業務プロセスモデルを問われたら、「ビジネスの活動」「データの流れ」「業務の手順」という言葉が含まれている選択肢を選びましょう。
なぜこの知識が重要なのか
ITパスポートでこの知識が問われるのは、システム開発において「技術」よりも先に「業務理解」が不可欠だからです。
多くのシステム導入プロジェクトが失敗する最大の原因は、現状の業務が整理されないまま、単に今の作業をコンピュータに置き換えてしまうことにあります。これを「そのままシステム化」と呼びますが、非効率な業務をシステム化しても、非効率なまま動作するシステムができあがるだけです。
そのため、システム構築の前段階である「要件定義」や「業務分析」のフェーズで、業務プロセスモデルを用いて現在の業務(As-Is)を洗い出し、システム導入によってどうあるべきか(To-Be)を設計することが、現場をより良くするための第一歩となるのです。