平成21年度 春期 ITパスポート試験 問29 解説 事業部制組織
経営組織のうち,事業部制組織の説明はどれか。
- ア 社内組織を小集団に分け,全体を構成する一部の機能として相互作用的に活動させる。
- イ 商品企画,購買,製造,営業といった同じ職能を行う単位で,社内組織を分割する。
- ウ 製品や市場ごとに社内組織を分割し,利益責任単位として権限と目標が与えられる。 ✓ 正答
- エ 二つの異なる組織体系に社員が所属することによって,必要に応じて業務に柔軟に対処する。
解説
事業部制組織を見抜くポイント
事業部制組織を判別するキーワードは「製品や地域ごとの区分」と「利益責任」です。選択肢の中に「利益責任」という言葉が出てきたら、それが事業部制組織である可能性が高いと考えましょう。
組織図の分類を理解する
経営組織は、業務をどのように分担するかによって呼び方が変わります。ITパスポート試験で頻出する主要な形態を整理します。
・事業部制組織 製品、市場、地域といった事業単位で組織を分けます。各事業部に製造や販売などの機能を持たせるため、事業部ごとに収益を管理できます。これが「利益責任単位」と呼ばれる理由です。
・職能別組織 開発、営業、製造、経理といった専門的な機能(職能)ごとに組織を分けます。専門性が高まり効率的ですが、部門間の壁ができやすく、会社全体の利益に対する意識が薄くなりがちです。選択肢イの説明がこれに該当します。
・マトリックス組織 職能別の縦軸と、プロジェクトや製品別の横軸を組み合わせた組織です。二つの組織体系に所属するため、柔軟な動きが可能ですが、指示系統が複数存在するため混乱が生じやすいというデメリットがあります。選択肢エの説明がこれに該当します。
・プロジェクト組織 特定の課題解決のために、各部署から専門家を集めた期間限定の組織です。目的を達成したら解散します。
組織形態を選択する思考プロセス
問題を解く際は、まず各選択肢がどの組織形態を指しているかを冷静に当てはめます。
- 選択肢ア:社内の小集団による相互作用は「アメーバ経営」や「チーム制」といった組織的な工夫を指しており、一般的な事業部制の定義ではありません。
- 選択肢イ:「同じ職能を行う単位」とあるため、これは職能別組織です。
- 選択肢ウ:製品や市場で分け、さらに利益責任を持つとあるため、これが事業部制組織の典型的な定義です。
- 選択肢エ:二つの組織体系が交差しているため、マトリックス組織です。
このように、キーワードを整理しておけば、試験本番で迷わずに正解を選べるようになります。
事業部制組織の意義と現場での活用
事業部制組織は、大規模な企業にとって非常に有効な仕組みです。会社が大きくなると、トップ一人がすべての製品の細かな状況を把握するのは不可能になります。そこで、各事業部に独立した権限を与えることで、市場の変化に対して迅速な意思決定ができるようになります。
一方で、各事業部がバラバラに動いてしまうと、会社全体のスケールメリットが損なわれるリスクもあります。そのため、実際の実務では事業部ごとに会計を分けるだけでなく、全社共通のシステムを導入して売上やコストの状況を経営陣がリアルタイムでモニタリングする手法が一般的です。ITパスポートでこの知識を問う意図は、組織の仕組みを理解することで、業務システムがどのような単位で設計されるべきかという視点を養うことにあります。