平成21年度 春期 ITパスポート試験 問31 解説 プロダクトライフサイクル
プロダクトライフサイクルに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。
- ア 導入期では,キャッシュフローはプラスになる。
- イ 成長期では,製品の特性を改良し,他社との差別化を図る戦略をとる。
- ウ 成熟期では,他社からのマーケット参入が相次ぎ,競争が激しくなる。 ✓ 正答
- エ 衰退期では,成長性を高めるため広告宣伝費の増大が必要である。
解説
プロダクトライフサイクルは、製品が市場に登場してから姿を消すまでの流れを4つの段階に分けたフレームワークです。選択肢を一つずつ検討し、それぞれの期間にどのような経営上の課題や市場環境が存在するかを照らし合わせることで正解を導き出せます。
プロダクトライフサイクルの4つの段階
製品が市場に投入されてから撤退するまでの期間は、以下の4つに分類されます。
- 導入期:市場に新製品が登場したばかりの時期。知名度が低く、広告宣伝費や開発費の回収が必要なため、利益は出にくくキャッシュフローはマイナスになることが一般的です。
- 成長期:製品が受け入れられ、売上が急激に伸びる時期。シェアを拡大するために、競合他社に先駆けて認知を高めるマーケティング活動が重視されます。
- 成熟期:市場が飽和し、製品が多くの消費者に浸透した時期。新規顧客の獲得が難しくなるため、既存顧客の維持やシェアの奪い合いが激化します。価格競争や機能の差別化が重要になります。
- 衰退期:需要が減退し、製品の売上が減少していく時期。広告費をかけて成長を狙うよりも、撤退、縮小、あるいは絞り込んだターゲットへの販売へと戦略を転換します。
選択肢の検討プロセス
- ア:導入期は先行投資の期間です。製品の開発費や市場に浸透させるための販促費が大きくかかるため、キャッシュフローはマイナスになるのが自然です。
- イ:成長期は、まず市場全体のパイを広げ、自社のシェアを確立することが優先される時期です。製品の微細な差別化よりも、流通網の整備やマスへの訴求が鍵となります。
- ウ:成熟期は、誰もがその製品の利益構造を知っているため、他社が参入しやすく、価格引き下げなどの競争が最も激しいフェーズです。この記述が適切です。
- エ:衰退期において広告宣伝費を増大させるのはコスト対効果が悪く、得策ではありません。この時期にはコスト削減や、事業の絞り込みを行うのが適切です。
経営戦略におけるこの知識の役割
この知識は、単なる試験用の暗記項目ではなく、企業が今どの製品にどれだけ投資すべきかを判断する羅針盤として使われます。たとえば、成熟期の製品で得た利益を、導入期や成長期の新規プロジェクトに投資するというポートフォリオ管理の考え方が、実際の経営現場では重要視されます。
ITパスポート試験においてこの問題が問われる理由は、技術的な知識だけでなく、その技術がビジネスのどのステージにあり、どのような利益構造を持っているのかを俯瞰する「ビジネスの視点」を持っているかを確認するためです。製品をただ作るだけでなく、市場の波と連動して戦略を柔軟に切り替える重要性を理解することが、合格への近道となります。