平成21年度 春期 ITパスポート試験 問46 解説 SLAの目的
ITサービスの提供者と顧客の間でサービスレベルに関して取り交わす SLA の目的は どれか。
- ア サービスの範囲と品質を明確にする。 ✓ 正答
- イ サービスマネジメントを定期的にチェックする手順を明確にする。
- ウ システム化目標を明確にする。
- エ 要員に必要な教育を明確にする。
解説
この問題は、SLAという用語の意味を正確に記憶しているかが問われています。SLAは「Service Level Agreement」の略であり、直訳すると「サービス品質合意書」です。したがって、「サービスの内容(範囲)と品質」を合意することが目的であると判断できれば、即座に「ア」を選択できます。
SLAとは何か
SLA(サービスレベル合意書)は、ITサービス提供者(ベンダー)とサービス利用者(顧客)の間で結ばれる契約書や取り決めを指します。
システム開発や運用を依頼する際、単に「システムを作ってほしい」「運用を任せたい」というだけでは、具体的な品質基準が曖昧です。例えば、「トラブルが起きたとき、どれくらいの時間で復旧させるのか」「月間の稼働率は何%を保証するのか」といった具体的な数値目標がなければ、後々トラブルの原因になります。SLAはこれらの項目を具体的に記述することで、双方の認識のズレを防ぎ、トラブルを未然に回避するための重要なドキュメントです。
なぜこれが正解になるのか
ITパスポート試験では、SLAに関連して似たような用語であるSLMやSLOと混同させようとする問題がよく出題されます。思考プロセスとしては、選択肢を一つずつ検討し、SLAという言葉の「Agreement(合意)」という部分に焦点を当てます。
- ア:サービスの範囲(何をするか)と品質(どの程度のレベルか)の合意。これがSLAの定義そのものです。
- イ:サービスマネジメントをチェックする手順は、SLAそのものというよりは、運用改善プロセス(PDCAサイクル)の一部です。
- ウ:システム化目標は、プロジェクト開始前の企画段階や要件定義段階で決めるものであり、契約時の品質保証とは性質が異なります。
- エ:要員に必要な教育は、サービス提供者側の社内管理事項であり、顧客との間で交わす合意項目ではありません。
このように、SLAは「顧客に対する品質の保証」という観点で捉えることが重要です。
現場で活用されるSLA
ビジネスの現場において、SLAは極めて重要な役割を果たします。例えば、クラウドサービスを導入する場合、そのサービス提供事業者はWebサイトなどでSLAを公開しています。「月間の稼働率が99.9%を下回った場合、利用料金の一部を返金する」といった規定がその典型例です。
顧客にとっては、サービスが使えなくなるリスクを金銭的に補償してもらえる指標となり、提供者にとっては、どこまでの品質を提供すれば契約不履行にならないかという安全地帯を確認する指標となります。このようにSLAは、双方にとっての「安心材料」かつ「ビジネスの判断基準」として機能しています。ITパスポートでは、単なる用語暗記としてではなく、ITを利用する企業がリスクを管理するためのツールの一つとして理解しておくことが求められています。