平成21年度 春期 ITパスポート試験 問52 解説 ITガバナンスの定義
IT ガバナンスについて説明したものはどれか。
- ア IT サービスの管理・運用規則に関するベストプラクティス(優れた事例)を,包括的にまとめたフレームワーク
- イ 企業が競争優位性を構築するために,IT 戦略の策定・実行をガイドし,あるべき方向へ導く組織能力 ✓ 正答
- ウ 企業が情報システムや IT サービスなどを調達する際,発注先となる IT ベンダに具体的なシステム提案を要求した仕様書
- エ サービスを提供するプロバイダが,品質を保証するため,提供するサービスの水準を明確に定義した合意書
解説
ITガバナンスの問題は、選択肢に含まれるキーワードが何を指しているかを特定し、消去法で正解を導くのが最短ルートです。この問題では「ITガバナンス=経営層が主導してITを戦略的にコントロールする組織能力」という定義に合致するものを選びます。
ITガバナンスとは何か
ITガバナンスとは、企業がITを戦略的に活用し、経営目標の達成や競争優位性を確保するために、組織としてITを統制する仕組みのことです。単に「コンピュータを導入すること」ではなく、IT投資が経営の役に立っているか、リスクを適切に管理できているかを経営陣が監督し、意思決定を行うプロセスを指します。
この考え方は、コーポレートガバナンス(企業統治)のIT版と捉えると理解しやすくなります。「ITをいかに使いこなして会社を強くするか」という視点を持つことが重要です。
選択肢を整理して正解を導く
試験本番では、誤った選択肢が何の説明をしているかを見抜くことで、正解の確信度が高まります。
・選択肢ア:ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の説明です。ITサービスの管理運用に関するベストプラクティスを集めたガイドブックであり、ITガバナンスの枠組みとは別のものです。 ・選択肢イ:正解です。「競争優位性」「戦略の策定・実行」「組織能力」という言葉がITガバナンスの本質を表しています。 ・選択肢ウ:RFP(Request for Proposal:提案依頼書)の説明です。システム開発をベンダーに依頼する際に、こちらが求める機能や条件を伝える文書のことです。 ・選択肢エ:SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証契約)の説明です。サービス提供者が、どのレベルの品質を保証するかを顧客と約束する契約書を指します。
経営視点としてのITガバナンス
この問題は、ITパスポートが単なる技術用語の知識だけでなく、経営戦略におけるITの重要性を理解しているかを問うために作られています。
実際のビジネス現場では、ITシステムは多額の投資を伴います。もし「なんとなく便利そうだから導入する」という判断を繰り返せば、投資対効果が悪化し、競争力を失う原因となります。そのため、経営層が「IT投資が経営戦略と合致しているか」「セキュリティリスクは許容範囲か」を客観的に評価する仕組みが必要になります。この「統制」と「活用」のバランスを取る能力が、ITガバナンスとして現代の組織には不可欠なのです。