平成21年度 春期 ITパスポート試験 問92 解説 障害切り分けのフローチャート
Mさんは,今回の障害の原因を特定するための手順を,流れ図として完成させようと考えた。このとき,次の図のYに入る適切な字句はどれか。 なお,次の流れ図は,作成途中のものである。
- ア ハブの障害ではないか ✓ 正答
- イ プリンタとハブをつなぐケーブルbの障害ではないか
- ウ プリンタとハブをつなぐケーブルb,または,ハブの障害ではないか
- エ プリンタの障害ではないか
解説
障害の原因を特定するには、まずは「どこまで通信できるか」を切り分けるのが鉄則です。この問題では、PC1からサーバへの通信が正常(Yes)である一方で、PC2からプリンタへの通信が異常(No)であるという条件下で、Yに入る内容を検討します。PC1からサーバへ問題なくつながるため、ハブとPC1間のネットワークは健全です。この状態でPC2からプリンタへの通信だけが失敗しているため、障害範囲は「ハブそのもの」である可能性が極めて高いと判断します。
障害切り分けの考え方
ネットワークのトラブルシューティングにおいて、最も基本的なアプローチは「正常な経路」と「異常な経路」を比較し、共通部分を排除していくことです。
- PC1からサーバへアクセスできる:ハブのPC1接続ポート、ハブのサーバ接続ポート、ハブ自体、およびケーブルa、cは正常であると推測できます。
- PC2からプリンタへ出力できない:ハブ経由のPC2からプリンタへの通信経路上のどこかに不具合があります。
もし「ケーブルb(プリンタとハブ間のケーブル)」が原因であれば、PC1からサーバへの通信には影響しません。しかし、今回のフローチャートのこの位置にある判断分岐は、より広範囲に影響を与える「ハブ」自体の異常を疑うステップです。PC2からプリンタへの出力ができないという事象を、最もシンプルかつ全体に影響を与える要因として捉えると、ハブの障害が論理的な答えとなります。
なぜ他の選択肢ではないのか
他の選択肢を検討すると、この問題の設計意図が見えてきます。
- ケーブルbのみを疑う(選択肢イ)場合、ハブが正常に動作していることが前提となります。
- ケーブルbまたはハブを疑う(選択肢ウ)場合は範囲が広すぎます。通常、トラブルシューティングの分岐では、まず「装置全体に影響を与えるもの」から切り分けるのが効率的です。
- プリンタ自体の障害(選択肢エ)を疑うステップも考えられますが、PC2からもPC1からも出力できないような状況下で、ネットワーク構成全体を見渡した際、ハブの切り分けを優先させるのが妥当な手順です。
ネットワーク管理で活きる論理的思考
このような「障害の切り分け」は、実際のシステム運用現場でも必須のスキルです。複数の端末がネットワークに接続されている環境では、特定の端末だけが繋がらないのか、それとも特定のハブに繋がっているグループ全員が繋がらないのかを切り分けることで、短時間で原因にたどり着くことができます。
試験では、この問題のようにフローチャート形式で手順が示されることがよくあります。特定の障害が発生した際に、どのステップで何を検証すれば効率よく原因を絞り込めるか、という「手順の論理構成」を意識して学習すると、実務能力と試験対策の両面で大きな効果が得られます。