平成21年度 春期 ITパスポート試験 問91 解説 障害切り分けの手順
Mさんは,障害の原因を特定するための手順を,流れ図に書いて考えてみることにした。このとき,次の図のXに入る適切な字句はどれか。 なお,次の流れ図は,作成途中のものである。
- PC1とハブをつなぐソケット,すなわちハブの障害ではないか ✓ 正答
- PC1とハブをつなぐケーブルcの障害ではないか
- プリンタとハブをつなぐケーブルbの障害ではないか
- プリンタの障害ではないか
解説
この問題は、消去法を用いた論理的な推論(障害の切り分け)を問うものです。正解を導くための鍵は、正常であるとわかっている経路や部品を順次特定し、最終的に障害が残る箇所を特定することにあります。
障害を特定するための論理構成
障害切り分けの基本は、疑わしい範囲を絞り込んでいくことです。今回の手順を整理すると以下のようになります。
- まず、PC2からプリンタへ出力できるかを試します。もし出力できるなら、プリンタ本体、ハブ、およびハブとプリンタをつなぐケーブルbは正常である可能性が高いと判断できます。
- 次に、PC1とPC2をハブにつないでいるケーブルcとケーブルdを、ハブ側で差し替えます。
- もし、差し替えてもPC2からプリンタへ出力できない場合(図中のNoのルート)、PC2本体、ケーブルd、PC1本体、ケーブルcは正常であると仮定(または確認)されているため、残る可能性のある原因はハブそのもの、あるいはそのハブにあるPC1側のソケット(ポート)ということになります。
選択肢の中で、この論理的な帰結として正しいものは、PC1とハブをつなぐソケット(ハブの障害)となります。
論理的思考プロセスと消去法
この種の問題を解くときは、以下の思考プロセスを意識してください。
・前提条件の整理:問題文にある「障害は1箇所のみ」「PC1は正常」という条件を、論理的な足場として活用します。 ・正常経路の特定:試験や実務の現場では、正常に動作している機器や経路を特定することで、疑うべき範囲を劇的に狭められます。「PC2から出力できる=共通経路(プリンタ、ハブ、ケーブルb)は概ね正常」という仮説が立てられます。 ・結果からの絞り込み:差し替えを行ったにもかかわらず「出力できない」ということは、入れ替えた箇所(ケーブルcとd)よりも、入れ替えられない箇所(ハブ側のポート、またはハブそのもの)に問題があるという結論に至ります。
現場で求められるトラブルシューティングの重要性
この知識は、IT現場におけるネットワーク障害対応の基礎です。実際の業務では、すべての機器を一度に交換することは不可能です。そのため、今回のように「正常な機器を使ってテストする」「ケーブルを差し替えて場所を特定する」といった段階的な切り分けを行うことで、最小限のコストで原因箇所を特定します。
この問題は、単なるネットワークの知識だけでなく、システムエンジニアに必須となる「効率的なトラブル解決手法」の論理的思考力を評価する良い教育的な構造を持っています。