平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問100 解説 作業時間の短縮
Fさんが全体の作業時間を求めたところ, 当初想定していた時間より長くなったので, 時間を短縮することを検討するように先輩から指示された。表に示される全体の作業時間を最も短縮できる方策はどれか。 なお, 並行して実施可能な作業はすべて並行して実施するものとする。
- 作業②を1.5時間短縮する。
- 作業④を1.5時間短縮する。 ✓ 正答
- 作業⑤を1.5時間短縮する。
- 作業⑥を2時間短縮する。
解説
全体の作業時間を短縮するためには、プロジェクト全体の日程を決定している最長経路である「クリティカルパス」を見つけ出し、その上の作業を短縮する必要があります。この問題では、クリティカルパス上の作業④を短縮することで、全体の所要時間を1.5時間短縮できます。
クリティカルパスとプロジェクト管理の基礎
プロジェクト管理におけるクリティカルパスとは、複数の作業が並行して進む中で、開始から終了まで最も時間がかかる経路のことです。この経路上の作業が1時間遅れると、プロジェクト全体の終了予定も1時間遅れます。逆に言えば、全体の期間を短縮したい場合、この経路上の作業を短縮しない限り、他の作業をどれだけ速めても全体の所要時間は変わりません。
所要時間の計算とボトルネックの特定
作業順序を整理して、開始から終了までの時間を算出します。
- 作業①:0.5時間
- 作業②(①の後):0.5 + 2 = 2.5時間
- 作業③(①の後):0.5 + 1 = 1.5時間
- 作業④(②と③の両方終了後):②と③の終了時間を比較し、遅い方の2.5時間が起点となる。2.5 + 3 = 5.5時間
- 作業⑤(④の後):5.5 + 2 = 7.5時間
- 作業⑥(④の後):5.5 + 3 = 8.5時間
- 作業⑦(④の後):5.5 + 1.5 = 7.0時間
- 作業⑧(⑤⑥⑦の終了後):⑤⑥⑦の中で最も遅い⑥の8.5時間が起点となる。8.5 + 2 = 10.5時間
全体の所要時間は10.5時間です。この経路を構成するのは「①→②→④→⑥→⑧」という流れであり、これがクリティカルパスとなります。
なぜ作業④の短縮が正解なのか
クリティカルパス上にない作業を短縮しても、全体の期間は短縮されません。
- 作業②を短縮しても、作業③が2.5時間まで待機しているため影響は限定的です。
- 作業⑤や⑦はクリティカルパス上ではないため、これらを短縮しても全体の終了時間は変わりません。
- 作業⑥を短縮すると、その分だけ全体時間を短縮できますが、選択肢にある作業④は「その後の作業すべて(⑤⑥⑦)」の起点となっています。作業④を1.5時間短縮すれば、クリティカルパス全体が1.5時間早まり、結果としてプロジェクト全体を1.5時間短縮できます。
実務においては、単に「一番時間のかかる作業」を短縮すればよいわけではなく、このように依存関係を可視化し、全体のスケジュールに直結する箇所を見極めるスキルが求められます。この手法はITプロジェクトのみならず、建設、製造、イベント企画など、順序立てて行うあらゆる業務計画において、限られたリソースで納期を守るために必須の考え方です。