平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問99 解説 最短終了時間
Fさんは表の作業全体が最も早く終了する時間を求めた。その時間は何時間か。
- 10
- 10.5 ✓ 正答
- 11
- 11.5
解説
作業全体が最も早く終了する時間は、各作業の依存関係を考慮したうえで、開始から終了までの「最長経路(クリティカルパス)」の所要時間を合計することで求められます。
具体的には、表から作業のつながりを整理し、各ルートの所要時間を計算して最大値を見つけます。
クリティカルパスの考え方
プロジェクト管理において、全体の工期は「最も時間のかかる一連の作業の流れ」によって決まります。これをクリティカルパスと呼びます。もしこの経路上にある作業が遅れると、プロジェクト全体の終了時間も遅れてしまいます。逆に、それ以外の作業には多少の余裕(バッファ)があることになります。
作業の流れと経路の計算
提供された表をもとに、作業の依存関係を整理して全ルートの時間を算出します。
- 作業(1)からスタート(0.5時間)
- ここから分岐が発生します。
- ルートA:(1) → (2) → (4) → (5) → (8)
- ルートB:(1) → (2) → (4) → (6) → (8)
- ルートC:(1) → (2) → (4) → (7) → (8)
- ルートD:(1) → (3) → (4) → (5) → (8)
- ルートE:(1) → (3) → (4) → (6) → (8)
- ルートF:(1) → (3) → (4) → (7) → (8)
次にそれぞれの所要時間を合計します。 作業(1)=0.5、(4)=3、(8)=2 は共通です。分岐部分の最大値を探せば効率的です。
- 前半部:(1)を経由して(4)に到達するまでの最大時間は、(1)0.5 + max((2)2, (3)1) = 2.5時間
- 後半部:(4)から(8)に到達するまでの最大時間は、(4)3 + max((5)2, (6)3, (7)1.5) + (8)2
- (4)→(6)→(8)のルートが最も長く、3 + 3 + 2 = 8時間となります。
全体の合計時間は、前半の2.5時間 + 後半の8時間 = 10.5時間となります。
プロジェクトマネジメントにおける意義
この計算手法は、単なる試験問題の解法にとどまらず、実際のIT現場でシステム開発のスケジュールを組む際に必須のスキルです。
システム導入やソフトウェア開発では、複数のタスクを並行して進めることが一般的です。しかし、すべてのタスクが同時に進められるわけではなく、先行作業が終わらないと着手できないタスク(依存関係)が存在します。クリティカルパスを正しく特定することで、「どこがボトルネックになるのか」「どこの作業に人員を集中させるべきか」という管理判断が可能になります。
この問題は、複雑に見える作業工程を整理し、プロジェクトの納期を左右する「最も時間のかかる流れ」を冷静に見極める能力を測っています。実務では、ここからさらに予期せぬトラブルによる遅延を見越して、余裕を持たせたスケジュールへと調整していくことになります。