平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問37 解説 インシデントの定義
ITサービスマネジメントにおけるインシデントはどれか。
- ア サービスの提供者と利用者の間で合意されたサービスの内容及びレベル
- イ サービス品質の低下を引き起こすもの ✓ 正答
- ウ サービス利用の課金情報の提供
- エ サービスレベルを維持管理する活動
解説
この問題は、ITサービスマネジメントにおける「インシデント」という言葉の定義を正確に暗記しているかが問われています。ITIL(IT Infrastructure Library)の定義において、インシデントとは「ITサービスの運用を中断させたり、品質を低下させたりする意図しない出来事」を指します。選択肢の中からこの定義に合致する「サービス品質の低下を引き起こすもの」を選びます。
インシデントとそれ以外の概念を整理する
ITサービスマネジメントを学ぶ上で、混同しやすい用語を整理しておくことが重要です。
・インシデント:サービスの中断や品質低下など、日常的な運用において発生する「問題の芽」のようなもの。例えば、メールが送れない、プリンタが動かないといった事象です。 ・サービスレベル合意書(SLA):選択肢アにある通り、サービスの提供者と利用者が「このレベルのサービスを提供します」と約束した内容です。 ・サービスレベル管理(SLM):選択肢エにある通り、合意したサービスレベルを維持・改善するために計画や監視を行う活動全体を指します。
消去法による正解の導き方
問題を解く際は、まず用語の「性質」を分類します。
- 選択肢アは「合意内容(契約条件)」であり、事象そのものではありません。
- 選択肢イは「事象(品質低下)」であり、インシデントの定義そのものです。
- 選択肢ウは「課金情報」という事務的なデータであり、ITサービスの稼働状況とは直接結びつきません。
- 選択肢エは「活動(プロセス)」であり、単発の発生事象であるインシデントとはカテゴリが異なります。
このように、用語が「物・契約・活動・事象」のどれに分類されるかを考えると、選択肢イだけが「事象」を指していることが明確になります。
現場で求められるインシデントの捉え方
ITパスポートでこの知識を問う意図は、単なる用語暗記ではなく「ITサービス管理の現場では、何が起きた時にどう対応すべきか」を判断する基礎力を養うことにあります。
実際の業務現場では、インシデントが発生した際に「まずサービスの復旧を急ぐこと」が求められます。ここで言う「サービス品質の低下」を放置すると、業務全体が停止し、大きな損失に繋がります。そのため、インシデントを正確に把握し、一次切り分け(原因の特定や復旧作業)を行うことは、IT担当者にとっての最初の一歩となります。この用語を理解しておくことで、トラブル発生時に「これはインシデントとして管理すべき事象なのか?」という初動判断ができるようになります。