平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問41 解説 システム方式設計の作業
システム開発プロセスには,システム要件定義,システム方式設計,ソフトウェア方式設計,ソフトウェア詳細設計などがある。システム方式設計において実施する作業として,適切なものはどれか。
- ア システムで使用する端末の画面設計を行う。
- イ システムの機能及び能力を定義する。
- ウ システムの信頼性を定義する。
- エ システムのハードウェア構成,ソフトウェア構成を明確にする。 ✓ 正答
解説
システム開発プロセスの各工程は、上流から下流に向かって「何を作るか(要件)」から「どう作るか(方式・詳細)」へと具体化していきます。この問題は、システム方式設計が「全体像(構成)」を決定する工程であることを理解していれば、迷わず選択肢エを選べます。
開発工程の役割分担を見極める
選択肢を判断する際は、その作業が「システム全体レベルの設計」なのか「特定の機能や部品レベルの設計」なのかを区別することが重要です。
ア:画面設計は、ユーザーが直接操作するインターフェースを決める作業であり、より詳細なソフトウェアの構造に関わる「ソフトウェア詳細設計」あるいは「ソフトウェア方式設計」で行われます。
イ:システムの機能や能力の定義は、そもそも「何を作るか」を決める段階です。これは「システム要件定義」で行う最も重要な作業の一つです。
ウ:信頼性などの品質要件も、システムの前提条件として要件定義段階で定義されるものです。後から設計で調整するのではなく、最初に目標値を決めます。
エ:ハードウェア構成やソフトウェア構成は、要件を「どのような機器やソフトウェアの組み合わせで実現するか」という全体像です。まさに「方式(やり方)」を決定する作業であり、システム方式設計の定義そのものです。
要件定義から詳細設計への流れ
システム開発は、大きく分けて「要件定義」で何をやるかを決め、「方式設計」でどうやるかの全体像を固め、「詳細設計」で個別の作り方を決めるという流れで進みます。
システム要件定義は、顧客の要望を整理し、システムの機能、性能、信頼性、セキュリティなどの目標を定める工程です。この段階ではまだ、具体的なサーバーのスペックやOSの選定までは行わないことが一般的です。
次にくるシステム方式設計では、要件定義の内容を受け取り、それを具体化します。「クラウドサービスを使うのか、オンプレミスにするのか」「データベースは何を使うのか」「システム全体をどのようなネットワーク構成にするのか」といった、システムの骨組みを決定します。
その後のソフトウェア方式設計や詳細設計では、システム方式設計で決まった枠組みの中で、個別のプログラムの構造や、画面のレイアウト、データベースのテーブル設計といった細かい実装方法を詰めていきます。
開発現場でこの知識が果たす役割
この知識は、実際の開発現場で「いま自分たちが何をしているのか」を把握するために不可欠です。
例えば、システム方式設計の段階で「画面のボタンのデザインはどうするか」という議論をしてしまうと、本来決めるべき「サーバー構成」などの重要な検討が遅れてしまいます。プロジェクトの進捗において、どの段階で何を検討すべきかという順序を理解していることは、チームで開発を進める上で非常に重要です。
また、ITパスポート試験では、V字モデルと呼ばれる開発工程の全体像が頻出します。要件定義、システム方式設計、ソフトウェア方式設計、ソフトウェア詳細設計という順番だけでなく、それぞれが対になるテスト工程(システムテスト、結合テストなど)とどう対応しているかまでセットで学習しておくと、より理解が深まります。