平成22年度 秋期 ITパスポート試験 問42 解説 プロジェクトマネージャの役割
利用部門からの要望を受けて,開発部門でシステム開発のプロジェクトを立ち上げた。プロジェクトマネージャの役割として,最も適切なものはどれか。
- ア システムの要件を提示する。
- イ プロジェクトの進捗を把握し,問題が起こらないように適切な処置を施す。 ✓ 正答
- ウ プロジェクトの提案書を作成する。
- エ プロジェクトを実施するための資金を調達する。
解説
プロジェクトマネージャ(PM)の役割を問う問題です。PMの主な任務は「計画したプロジェクトを、予算・期間・品質の制約の中で成功に導くこと」にあります。したがって、進捗状況を常に監視し、トラブルを未然に防いだり、発生した問題に対処したりする「管理業務」が正解となります。
プロジェクトマネージャの職務範囲
プロジェクトマネージャは、プロジェクトの開始から終了まで全体を統括する責任者です。ITパスポートで頻出するPMの主な活動は以下の通りです。
- 進捗管理:スケジュール通りに進んでいるかを確認する
- 品質管理:成果物が要求された品質を満たしているかを確認する
- 予算(コスト)管理:決められた予算内に収まっているかを確認する
- リスク管理:トラブルの芽を早期に発見し、影響を最小限に抑える
これらの活動は、プロジェクトが目標を達成するために不可欠なプロセスです。選択肢の「進捗を把握し、適切な処置を施す」という記述は、まさにこれらのマネジメント活動そのものを指しています。
他の選択肢が誤りである理由
他の選択肢を検討すると、それぞれPM以外の役割が見えてきます。
ア:システムの要件を提示する これは利用部門(ユーザー)の役割です。システムにどのような機能が必要か、何を実現したいかを決めるのは顧客側の仕事です。PMは、提示された要件を実現可能な計画に落とし込むのが仕事です。
ウ:プロジェクトの提案書を作成する これはプロジェクトが正式に立ち上がる前の準備段階、あるいは営業や企画部門の役割です。PMは立ち上がったプロジェクトを動かす責任者であるため、提案そのものよりも実行計画の策定が主となります。
エ:プロジェクトを実施するための資金を調達する 資金調達は企業経営に関わる業務であり、経営層やスポンサーの仕事です。PMは与えられた予算内で最大限の成果を出すことが求められます。
マネジメント能力が求められる背景
実務の世界において、システム開発は計画通りに進まないことが珍しくありません。急な仕様変更や技術的な課題、人員の不足など、様々なトラブルが発生します。
こうした状況下で、ただ指示を出すだけでなく「今どこで何が起きているか」を可視化し、遅延が発生しそうなときに先手を打ってリソースを再分配したり、要件を調整したりするのがPMの腕の見せ所です。試験の問題として「PMの役割」が問われるのは、IT開発において最も重要なのは技術力だけでなく、プロジェクトを完遂させるための管理能力であることを理解しているかが問われているからです。