平成22年度 春期 ITパスポート試験 問2 解説 グラフの読み取り
A社,B社の売上高及び営業利益のグラフの説明として,適切なものはどれか。
- ア A社はB社より売上高の伸び率が高いが,2008年の売上高営業利益率は低い。
- イ A社はB社より売上高の伸び率が低いが,2008年の売上高営業利益率は高い。 ✓ 正答
- ウ A社はB社より売上高の伸び率も2008年の売上高営業利益率も高い。
- エ A社はB社より売上高の伸び率も2008年の売上高営業利益率も低い。
解説
この問題を解くための手順は大きく2ステップです。まず棒グラフの高さから「売上高の伸び率」を比較し、次に折れ線グラフの値と棒グラフの値から「売上高営業利益率」を計算して比較します。
売上高の伸びと利益率の評価
売上高の伸び率とは、期間の経過とともに売上高がどの程度増加したかを指します。グラフを見ると、A社は2006年から2008年にかけての棒グラフの増加幅が緩やかです。一方、B社の棒グラフは2006年から2008年にかけてより急激に高くなっており、売上高の伸び率はB社の方が高いことがわかります。
次に売上高営業利益率を比較します。この指標は以下の式で求められます。
2008年のデータを用いて、A社とB社それぞれの利益率を概算します。
A社は売上高が約500、営業利益が約150です。
B社は売上高が約500、営業利益が約110程度です。
このように計算すると、2008年時点ではA社の方が売上高営業利益率が高いことが明確になります。したがって、A社は伸び率は低いものの、利益率は高いという結論が得られます。
データの読み取りと経営指標の捉え方
ITパスポート試験において、グラフの読み取り問題は単に数値を拾うだけではなく、経営状況を客観的に評価する視点が求められます。
伸び率という言葉には、前年比や期間内の変化率という考え方が含まれます。絶対額が大きくても変化が小さければ伸び率は低くなり、逆に小規模から急成長すれば伸び率は高くなります。これは市場における企業の成長ステージを分析する際に重要です。
一方で、営業利益率は企業の収益性を表す最も基本的な指標です。いくら売上が高くても、コスト(経費)がかかりすぎていれば利益は残りません。この問題は、売上の「規模」と「成長の勢い」、そして「収益性の高さ」という、経営における異なる軸を同時に評価するトレーニングとして機能しています。
ビジネス現場での分析的な視点
実際のビジネス現場では、ITシステム導入の費用対効果(ROI)を算出する際にも、こうした指標の理解が不可欠です。例えば、新しいシステムを導入したことで売上高がどれだけ伸びたのか(成長性)、あるいはそのシステムによって業務効率が改善され、売上高に対してどれだけ利益が残るようになったのか(収益性)を分析します。
この問題で問われている「伸び率」と「利益率」の関係は、経営戦略においてしばしばトレードオフの関係になります。シェア拡大を目指して広告宣伝費や開発費を投じれば売上の伸びは高まりますが、一時的に営業利益率は低下します。反対に、既存事業でコストを厳しくコントロールすれば利益率は高まりますが、売上の伸びは鈍化する可能性があります。グラフから企業のこのような戦略的意図や状態を読み取る力は、ITコンサルタントや企画職だけでなく、すべてのIT人材にとって重要なビジネスリテラシーとなります。