ITパスポート試験 / 平成22年度 春期 ITパスポート試験 / 問100
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平成22年度 春期 ITパスポート試験 問100 解説 市場シェアと戦略

設問図

方針案 2 を進めた場合,〔S 社の状況〕の(1)と(5)に対処することができ,T 社が占めていた市場シェアをほぼ確保できる見込みである。市場シェアに基づいて次の表のような戦略を採った場合,買収後の S 社の戦略に関する記述として,適切なものはどれか。

  1. ア Q 社の人気商品に類似した健康菓子を商品化し,Q 社よりも低価格で販売する。
  2. イ アレルギーに配慮した健康菓子の生産に特化して,高価格,高収益を目指す。
  3. ウ 広告などによって人々の健康志向を高め,健康菓子の需要そのものを増やす。
  4. エ 商品企画に関連する部門に資金を投入して,競争力の高い優れた商品を企画し,販売する。 ✓ 正答

解説

この問題は、企業が市場内での自社の立ち位置(市場地位)に基づき、どのような戦略を選択すべきかという「競争戦略(コトラーの競争地位戦略)」の知識を問うものです。

正解にたどり着くための判断手順は以下の通りです。

  1. 問題文から、買収後のS社が「T社のシェアを確保し、市場シェア1位となる」ことを読み取ります。
  2. 表を参照し、1位の企業が採るべき戦略が「市場全体の規模拡大」であることを確認します。
  3. 選択肢の中で「市場全体の需要を増やす」という目的に合致するものはどれかを検討します。

市場地位に応じた戦略のフレームワーク

この問題の背景には、マーケティングの大家フィリップ・コトラーが提唱した「市場地位別戦略」の考え方があります。市場シェアの順位によって、企業が目指すべきゴールは異なります。

  • リーダー(1位):市場そのものを大きくして、パイを広げる(需要喚起)。
  • チャレンジャー(2位):リーダーに対して強みをぶつけ、シェアを奪う(攻撃)。
  • ニッチャー(特定分野1位):ニッチな領域に特化して独自性を保つ(専門化)。
  • フォロワー(その他):リーダーの模倣などでコストを抑え、安定を図る。

思考プロセスと正解の導き方

本問のS社は買収によって「市場シェア1位」となります。表のルールに従えば、取るべき戦略は「市場全体の規模拡大」です。

ここで各選択肢を吟味します。 選択肢ア、イ、ウは、それぞれ「模倣(フォロワー)」「専門化(ニッチャー)」「市場拡大(リーダー)」を示唆していますが、文脈や現実的な経営資源の配分を考慮すると、リーダーには「圧倒的な商品力で市場を牽引し、より多くの人に商品を使ってもらう」という責務が生じます。

正解のエは「商品企画への投資」です。一見すると市場拡大と無関係に見えるかもしれませんが、市場リーダーが需要を喚起するためには、単に広告を打つだけでなく、常に新しい需要を掘り起こす「魅力的な商品」を投入し続けることが不可欠です。市場全体のパイを大きくするためには、消費者が「欲しい」と思う新しい提案を継続的に行う必要があり、それが競争力の高い商品企画につながります。

実務における競争戦略の重要性

この知識は、単なる試験勉強としてだけでなく、実際のビジネスシーンでも頻繁に活用されます。例えば、スタートアップ企業であれば、まずはニッチな分野で1位を狙う(ニッチャー戦略)のが定石ですが、成長して業界のリーダーになった瞬間に、戦略を「ニッチな特化型」から「マス(全体)に向けた拡大戦略」へと大胆に転換しなければなりません。

この問題を解くことを通じて、企業が自社の規模や状況に合わせて「今、何に注力すべきか」を変えていかなければならないという経営の視点を養うことができます。

参考リンク

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