平成22年度 春期 ITパスポート試験 問99 解説 強みを伸ばす経営戦略
方針案 1 に沿って,強みを更に伸ばすための方策に関する記述として,適切なものはどれか。
- ア 営業拠点数の影響を受けにくいインターネットによる通信販売システムを導入する。
- イ 顧客の購買データを分析して,会員にきめの細かいサービスを提供するために,CRM システムを構築する。 ✓ 正答
- ウ 商品の生産工程における安全管理を徹底するために,生産管理システムの刷新を図る。
- エ 成人向け健康菓子の企画に際して,各地域の人口分布に関する統計データを分析することを目的として,POS システムを導入する。
解説
この問題は、企業が持つ「強み」をどのように強化するかという経営戦略の視点から判断します。設問にある「方針案1:強みを更に伸ばす」という目的と、各選択肢が提供する機能が整合しているかを確認するのがポイントです。
経営戦略における強みの強化
「強みを伸ばす」とは、その企業がすでに持っている優位性や顧客基盤をより強固にし、収益性を高めることを指します。
イのCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムは、顧客一人ひとりの購買履歴や属性情報を蓄積・分析するための仕組みです。蓄積したデータを活用することで、個別の顧客に合わせたキャンペーンや推奨商品の提案が可能になります。既存の顧客層を大切にし、ファン化を促進してリピート率を高めることは、まさに企業が持つ「既存顧客という強み」を最大限に活かす戦略といえます。
選択肢の判断プロセス
他の選択肢を検討すると、なぜイが適切かが見えてきます。
アの「インターネット通販」は、地理的制約を克服するための手段であり、強みを伸ばすというよりは「販路の拡大」という成長戦略に分類されます。
ウの「生産管理システムの刷新」は、品質向上や効率化が目的です。これは内部プロセスの改善であり、顧客体験を直接的に向上させて強みを強化する直接的な手法ではありません。
エの「POSシステム」は、販売時点の情報を収集するためのシステムです。新規事業(成人向け健康菓子)への進出は、強みを伸ばすというよりは「新規開拓」という別の戦略カテゴリに含まれます。
ITシステム導入の目的と経営戦略
ITパスポート試験では、システム導入がどのような経営課題を解決するのかという「手段と目的の適合性」が頻繁に問われます。
CRMは「顧客理解」と「関係構築」を目的とするシステムです。一方で、POSは「販売効率」や「在庫管理」に強みを持ちます。問題文にある「きめの細かいサービス」というキーワードは、まさにCRMが目指す顧客体験の質向上と合致しています。
このように、IT技術を導入する際は「今、自社がどのような戦略(成長戦略、多角化戦略、効率化など)をとっているのか」を常に意識することが重要です。実際のビジネス現場でも、闇雲にシステムを導入するのではなく、企業の経営目標に沿ったツールを選定する視点が求められます。