平成22年度 春期 ITパスポート試験 問11 解説 期待値と予想利益
ある市場が今後,拡大,現状維持,縮小する場合の商品A,B,Cの販売利益が表のとおり見込まれており,拡大,現状維持,縮小する確率がそれぞれ0.2,0.5,0.3であるとき,どの商品を販売すると予想利益が最高となるか。ここで,商品の予想利益は販売利益の期待値から開発コストを差し引いたものとし,各商品A,B,Cの開発コストは,それぞれ20億円,10億円,15億円とする。
- ア A
- イ B ✓ 正答
- ウ C
- エ A,B,Cどれでも同じ
解説
各商品の「販売利益の期待値」を算出し、そこから「開発コスト」を引いた値を比較することで正解を導き出します。期待値は の合計で求められます。
期待値を用いた収益の計算
問題文の数値を当てはめて、商品ごとに予想利益を計算します。
商品Aの予想利益: ※失礼いたしました。正確な計算は です。ここから開発コスト20を引くと予想利益は29億円となります。
商品Bの予想利益: 予想利益は32億円となります。
商品Cの予想利益: 予想利益は25億円となります。
これらを比較すると、32億円の利益が見込める商品Bが最高となります。
不確実性の中での意思決定
この問題の核となる概念は「期待値による意思決定」です。将来の市場環境は正確には予測できませんが、統計的な確率(0.2、0.5、0.3)が与えられている場合、すべてのシナリオを考慮した平均的な結果である「期待値」を基準に判断するのが合理的です。
もし期待値を考慮せず、最も高い利益が得られる「拡大」のシナリオだけを見て商品Cを選んでしまうと、市場が縮小した際に大きな損失を被るリスクがあります。一方で期待値を用いる手法は、発生確率の重み付けを行うことで、リスクとリターンのバランスを最適化しようとする試みです。
ビジネス現場での活用
実務においてこの考え方は、経営判断やプロジェクトの優先順位付けで頻繁に活用されます。例えば、新しいソフトウェアを開発する際に、「ヒットした場合(高利益)」「並の場合(中利益)」「失敗した場合(利益ゼロまたはマイナス)」という3つのシナリオを想定し、それぞれの発生確率を過去のデータから推定します。
これに開発工数や広告費などのコストを差し引くことで、単なる「最大利益」ではなく「最も報われる確率が高い選択肢」を導き出します。ITパスポート試験でこの問題が出題される背景には、将来の予測が困難なビジネス環境においても、限られたリソース(資金や人員)を最も効率的に配分する「論理的な判断力」を養う意図があります。