平成22年度 春期 ITパスポート試験 問77 解説 直列システムの稼働率
問77 2台の処理装置が直列に接続されているシステムがある。両方の処理装置が正常に 動作しないとシステムは稼働しない。両方の処理装置の故障の発生は独立しており、 稼働率が等しい場合の、処理装置の稼働率とシステムの稼働率の関係を表すグラフの 形はどれか。ここで、破線は処理装置の稼働率とシステムの稼働率が等しい場合を表 す。
- ア
- イ ✓ 正答
- ウ
- エ
解説
この問題は、直列システムの稼働率を求める数式 をグラフ上に表現する問題です。 各装置の稼働率を とすると、システム全体が稼働するための条件は「両方の装置が正常であること」なので、稼働率は となります。 から の間にある数値を二乗すると、元の数値よりも必ず小さくなる(例: )ため、グラフは元の値を示す破線よりも下側に位置する曲線(下側に凸の形状)である「イ」が正解となります。
直列システムの稼働率という考え方
ITシステムにおいて「直列に接続されている」とは、ある装置が故障した時点でシステム全体が停止してしまう構造を指します。これを信頼性工学の言葉では「直列構成」と呼びます。
計算式 が示す通り、構成する装置の数が多ければ多いほど、またそれぞれの装置の稼働率が低ければ低いほど、システム全体の稼働率は掛け算でどんどん低下していきます。これが直列システムの弱点です。
グラフから読み解く直感的な理解
この問題を解くための思考プロセスは以下の通りです。
- 数式の理解:直列は「積」で計算する。 が から の範囲であれば、 は より小さくなる。
- 座標の検証: のとき、システム稼働率は になる。グラフ上で横軸が のとき、縦軸が より低い位置( 付近)にあるものを選ぶ。
- 形状の確認: のときは 、 のときは となるため、グラフの両端は必ず と を通る。
この手順により、選択肢「イ」が唯一の条件を満たすグラフであると判断できます。
システム設計における信頼性の重要性
この知識は、実際のITインフラ設計や可用性の計算で必須となります。例えば、Webサーバ、APサーバ、DBサーバが直列に並んでいる構成を想像してください。どれか一つでも故障すればサービスが止まるため、全体の稼働率はそれぞれの稼働率の積となり、個々の装置の稼働率よりも必ず低くなります。
実務では、この「積による稼働率の低下」を避けるために、重要な装置を二重化(並列化)して冗長性を持たせる設計を行います。並列構成の場合は という式になり、個々の装置よりも高い稼働率を実現できます。直列構成の特性を知ることは、なぜ冗長化が必要なのかという設計思想を理解するための第一歩となります。