平成22年度 春期 ITパスポート試験 問92 解説 作業スケジュールの妥当性
Sさんは, 作業期間見積りを行い, 作業期間を基に作業の開始日と終了日を決定し, スケジュール作成を行った。次の表はスケジュールの一部を示したものである。スケジュールを見た先輩から誤りを指摘された。Sさんが受けた指摘として, 適切なものはどれか。次の図は6月のカレンダであり, 土日は作業を行わないものとする。
- 帳票レイアウトの工数は10なので, 終了日は6月26日である。
- 帳票レイアウトの作業は, 田中さんの前作業が重なるので終了日を6月19日に設定できない。 ✓ 正答
- 帳票レイアウトの作業は, 担当が2名割り当てられているので, 終了日を6月18日に設定することができる。
- 帳票レイアウトの作業は, ほかの作業と比較して工数が多いので, 作業期間を長めに見積る必要がある。
解説
この問題は、担当者ごとの作業負荷とカレンダー上の稼働日を照らし合わせることで解くことができます。手順は以下の通りです。
- 田中さんが担当しているすべての作業を確認する。
- 画面一覧(4人日)が6月3日(火)に開始された場合、土日を除いていつ終了するかをカレンダーで確認する。
- 田中さんが次に担当する「帳票レイアウト」との重複がないかを確認する。
担当者ごとのスケジュール管理
スケジュール表を見ると、田中さんは「画面一覧(4人日)」と「帳票レイアウト(10人日)」の2つを担当しています。
画面一覧は6月3日に開始します。カレンダーを見ると、6月3日(火)、4日(水)、5日(木)、6日(金)の4日間で作業が終了します(土日は休みのため)。
次に帳票レイアウトを確認します。表には開始日が6月13日と書かれています。もしこの作業を6月13日から開始して順調に進めたとしても、田中さんが抱えている前作業の負荷を考慮しなければなりません。また、問題文の選択肢イにあるように、そもそも田中さんは複数の作業を並行して担当することはできず、前作業が完了するまで次の作業には取り掛かれません。スケジュール表上の不整合や、現実的な担当者の稼働能力を無視した割り当てが誤りであると判断します。
スケジュール作成における論理的思考
プロジェクト管理では、各タスクの工数だけでなく、担当者のリソース(稼働能力)を考慮することが不可欠です。
- 前提条件の整理: 土日は休みであるため、稼働日は平日のみとカウントします。
- 担当者の拘束時間: 同一人物が2つの作業を同時に担当することはできません。
- 作業の順序: あるタスクが終わらないと次のタスクが始められないという依存関係を考慮します。
試験では「担当者」「工数」「開始日」の3つが提示されたら、まずは担当者ごとに作業をピックアップし、時系列でカレンダーにプロットして重複がないかを確認する癖をつけましょう。
実務現場におけるリソース管理
この問題の教育的意図は、ガントチャートや工程表が「ただ日付を並べただけ」にならないようにすることです。実務では、以下の点が重要視されます。
- 人月計算の限界: 10人日の作業を2人で分担すれば5日で終わると思われがちですが、実際には情報の共有コストやタスクの依存関係により、単純に工数を人数で割れるとは限りません。
- ボトルネックの特定: 特定の担当者に作業が集中すると、その人のスケジュールがプロジェクト全体の遅延要因になります。これをクリティカルパスやリソース負荷状況として可視化するのがプロジェクトマネージャの役割です。
ITパスポート試験では、プロジェクトマネジメントの基本的な考え方として、スケジュール作成時には「担当者の空き状況」と「稼働カレンダー」を常に連動させて考える必要があることを理解しておくことが合格への近道です。