平成22年度 春期 ITパスポート試験 問94 解説 DFDの構成要素
文献システムの〔貸出処理〕と〔返却処理〕に基づき, 次の図に示すDFDを作成した。DFDのa〜cに入る適切な字句の組合せはどれか。
- ア ✓ 正答
- イ
- ウ
- エ
解説
この問題は、DFD(データフロー図)の表記ルールに基づき、矢印が指し示す「処理の内容」と「データの流れ」を論理的に繋ぐことで正解を導き出せます。
データの流れを読み解く手順
DFDにおいて、円は「処理」、長方形(または二重線)は「データストア(ファイルや表)」を表します。 今回の問題で注目すべき点は、各処理とデータストアを結ぶ矢印の向きです。
- 処理 a からデータストア b に向かって矢印が伸びています。これは「貸出処理によってデータを表に書き込む」という流れを示します。したがって、aには「貸出」が入ります。
- 処理 c は返却に関する処理であるため、bの表から情報を読み取り、返却の記録を書き込む必要があります。したがって、cには「返却」が入ります。
- 文献システムにおいて、貸出や返却の対象となるのは「文献」です。bは貸出データや返却データを保持する場所ですので、ここには「文献」に関する管理表が入ります。
これらを踏まえると、a=貸出、b=文献、c=返却の組み合わせである選択肢アが適切であると判断できます。
データフロー図の基礎知識
DFDは、システムにおけるデータの動きを可視化するための手法です。構成要素は主に以下の4つです。
- 処理(円):データに対して何らかの変換や加工を行う機能。
- データストア(長方形):データを保持・蓄積する場所。
- 外部実体(四角形):データの提供元や受け取り先となる人間や外部システム。
- データフロー(矢印):データの流れる方向。
今回の問題のように、処理とデータストアの間で矢印がどのようにやり取りされているかを確認することで、システムがどのようなデータのやり取りをしているのかを設計段階で把握することができます。
なぜこの問題が重要なのか
実際のシステム開発現場では、要件定義の段階で「このシステムがどのようなデータを扱い、どのように加工するのか」を関係者間で合意する必要があります。DFDは専門用語を並べるよりも直感的にシステムの構造を伝達できるため、プログラマだけでなく、ユーザーや顧客と認識のズレをなくすためのコミュニケーションツールとして活用されます。
また、システム障害の解析や保守を行う際にも、「どこからデータが来て、どこに記録されているのか」を特定するためにDFDのような図式化された資料が役立ちます。試験対策としては、単に記号の意味を覚えるだけでなく、図を見たときに「データの入口と出口はどこか?」「情報を保存する場所はどれか?」という視点で整理する癖をつけておくと、応用問題にも対応しやすくなります。