平成22年度 春期 ITパスポート試験 問95 解説 業務フローの穴埋め
担当者には, 社員からの文献の問合せが多い。担当者は, 社員から電話で文献名 を聞き, 貸出可能かどうかを調べている。そこで, 文献検索機能を文献システムに 追加し, 社員に利用させることにした。文献検索機能の概要は次のとおりである。 追加する文献検索機能について, その処理の流れを次の図のとおりにまとめた。 図のd〜fに入る適切な字句の組合せはどれか。 〔文献検索機能の概要〕 (1) 問い合わせる文献名で, 文献表をあいまい検索して結果を表示する。 (2) 該当する文献があるかを確認し, 該当するものがある場合は, 貸出可能かどうかを調べる。 (3) 貸出中であるか, 貸出可能であるかを表示する。
- ア. d:貸出状況を確認する e:貸出中と表示する f:貸出可能と表示する ✓ 正答
- イ. d:貸出状況を確認する e:貸出可能と表示する f:貸出中と表示する
- ウ. d:貸出可能かを確認する e:貸出中と表示する f:貸出可能と表示する
- エ. d:貸出可能かを確認する e:貸出可能と表示する f:貸出中と表示する
解説
この問題は、業務の流れをフローチャートに落とし込む「業務改善」の論理的思考を問うものです。正解を導くための鍵は、フローチャートの「条件分岐」と「処理内容」の対応関係を正確に読み解くことにあります。
フローチャートの読み解き方
まず、図を上から順に追います。
- 「該当する文献があるか」という条件分岐のYesの先に、dがあります。これは検索処理の次に行うべき「貸出状態の調査」に該当します。
- 次の「貸出レコードはあるか」という条件分岐は、貸出中かどうかを判定する重要な分岐です。
- ここで、貸出レコードがあるということは、現在「貸出中」であることを意味します。したがって、Yesの先にくるfには「貸出中と表示する」が入ります。
- 逆に、貸出レコードがない(No)場合は「貸出可能」であるため、eには「貸出可能と表示する」が入ります。
この論理構成と選択肢を照らし合わせると、dには「貸出状況を確認する」が入り、eには「貸出可能と表示する」、fには「貸出中と表示する」が適切です。
アルゴリズムと業務プロセスの可視化
この問題で使われている手法は「アルゴリズムの設計」の基礎となる考え方です。コンピュータシステムは、人間が手作業で行っている手順を「論理的な順序(フロー)」に分解することで実現されます。
担当者が電話で対応していた「文献検索→貸出状況確認→回答」という一連の動作を、システムとして実装するためには、このように「Yes/No」で分けられる最小単位の判断に分解しなければなりません。システム開発の現場では、このようなフロー図(業務フローやプログラムフローチャート)を作成し、関係者間で認識を合わせることで、システム化の際の漏れや矛盾を防ぐという極めて重要な工程を行っています。
IT実務における論理設計の重要性
ITパスポート試験において、この種の問題が繰り返し出題される背景には、ITエンジニアだけでなく、非エンジニアであっても「業務を論理的に組み立てる能力」が求められているという意図があります。
例えば、社内の事務作業を自動化するツール(RPAなど)を導入する際や、Excelで複雑な条件分岐が必要な関数を組む際、あるいはマニュアルを作成する際にも、この「条件分岐の整理」という思考プロセスはそのまま活用できます。複雑な業務をいきなりシステム化しようとするのではなく、まずはフローチャートに描き起こして「どのタイミングでどのような判断が必要か」を整理する癖をつけることが、IT活用の第一歩となります。