平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問30 解説 e-TAXの本人認証
問30 e-TAXなど行政への電子申請の際に、本人証明のために公的な個人認証サービスを利用することができる。このサービスを利用する際に実際に使用できるものはどれか。
- ア 印鑑登録カード
- イ クレジットカード
- ウ 住民基本台帳カード ✓ 正答
- エ パスポート
解説
行政への電子申請で本人証明のために利用できる公的な個人認証サービスに対応するカードは何か、という問いです。選択肢の中から、公的な機関が発行し、かつオンラインでの本人認証(電子証明書を格納できるもの)として機能するカードを選びます。正解は「住民基本台帳カード」です。
公的個人認証サービスとその役割
公的個人認証サービスとは、インターネットを通じて行政手続きを行う際に、本人確認を確実に行うための国の仕組みです。このサービスを利用することで、オンラインでのなりすましやデータ改ざんを防ぎ、安全で信頼性の高い電子申請が可能になります。具体的には、カードに格納された「電子証明書」を用いて、利用者が本当に本人であること、そして申請内容が途中で改ざんされていないことを証明します。
かつて、この公的個人認証サービスの基盤となっていたのが「住民基本台帳カード(住基カード)」でした。住基カードに電子証明書を記録し、パソコンに接続したICカードリーダーを使って、e-Tax(国税電子申告・納税システム)での確定申告や、その他行政手続きのオンライン申請に利用されていました。
なぜ住民基本台帳カードが正解なのか
選択肢の中で、公的な本人確認とオンラインサービスへの対応という両方の要件を満たしていたのが、当時の住民基本台帳カードだったからです。
- ア 印鑑登録カード: 市町村が発行する公的なカードですが、その主な目的は印鑑登録証明書の発行手続きの際に本人確認をすることです。ICチップを内蔵せず、オンラインでの電子証明書による本人認証サービスには対応していません。
- イ クレジットカード: 金融機関やクレジットカード会社が発行する民間サービスのためのカードです。オンラインショッピングなどで本人認証に使われることはありますが、国の公的な個人認証サービスとは無関係です。
- ウ 住民基本台帳カード: 市町村が発行する公的なカードであり、ICチップを搭載して電子証明書を格納し、公的個人認証サービスに利用できるよう設計されていました。これが本問題の正解です。
- エ パスポート: 国が発行する公的な身分証明書であり、ICチップも内蔵していますが、日本のパスポートのICチップは主に国際的な渡航情報記録用であり、公的個人認証サービスにおける電子証明書の発行や利用には対応していません。
住民基本台帳カードからマイナンバーカードへ
ITパスポート試験では過去問として住民基本台帳カードが正解となる問題が出題されますが、現在の公的個人認証サービスは、2016年1月から発行が開始された「マイナンバーカード」が担っています。マイナンバーカードは、顔写真付きの身分証明書としての機能に加え、ICチップに電子証明書が記録されており、公的個人認証サービスをこれ一つで利用できるようになりました。
住民基本台帳カードの新規発行は2015年12月22日に終了していますが、それまでに発行された住基カードは有効期間内であれば、搭載された電子証明書と共に公的個人認証サービスに利用することが可能です。ただし、新たな電子証明書の発行や更新は、現在はマイナンバーカードでのみ行われます。
この知識が役立つ場面と問題の意図
この問題は、私たちがITを活用して行政サービスを受ける上で不可欠な「本人確認の仕組み」について、その基礎知識を問うものです。e-Taxでの確定申告や、各種行政手続きのオンライン申請など、デジタル化が進む社会では、インターネットを通じた本人確認の重要性が高まっています。
ITパスポート試験においてこの知識は、「社会とシステム」という分野で出題されます。社会のデジタル化に伴う制度や技術の進展を理解することは、ITを活用するビジネスパーソンにとって必須の教養です。公的なサービスがどのようにITと連携しているかを知ることで、行政手続きの効率化やセキュリティの確保に対する理解が深まります。