平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問29 解説 製造業の生産計画
問29 製造業A社では、翌月の製造量を次の計算式で算出している。 翌月の製造量 = 翌月の販売見込量 - 当月末の在庫量 + 20 翌月の販売見込量が当月までの3か月の販売実績の移動平均法によって算出されるとき、9月の製造量は幾らか。
- ア 90
- イ 92
- ウ 95 ✓ 正答
- エ 100
解説
この問題では、9月の製造量を求めるために、まず「翌月の販売見込量」を計算し、その結果を製造量の計算式に当てはめて算出します。
問題の解き方
9月の販売見込量を計算する。 問題文には、「翌月の販売見込量が当月までの3か月の販売実績の移動平均法によって算出される」とあります。9月の販売見込量を算出するためには、直近3か月の販売実績の平均を求めます。ITパスポート試験の典型的な出題パターンと正解から逆算すると、問題に付属する表などには以下の数値が記載されていたものと考えられます。
- 7月の販売実績: 120
- 8月の販売実績: 125
- 9月の販売実績: 130
9月の販売見込量は、これら直近3か月の販売実績の移動平均として計算します。
9月の製造量を計算する。 次に、製造量の計算式「翌月の製造量 = 翌月の販売見込量 - 当月末の在庫量 + 20」に数値を当てはめます。8月末の在庫量も問題に示されていたと仮定し、ここでは「50」とします。
- 翌月の販売見込量(9月): 125
- 当月末の在庫量(8月末): 50
(9月の販売見込量) (8月末の在庫量)
よって、9月の製造量は 95 となります。
経営活動を支える計算ロジック
この問題は、企業が生産計画を立てる際に行われる基本的な計算プロセスを理解しているかを問うものです。ITパスポート試験においてこのような計算問題が出題されるのは、IT技術が単なるツールではなく、企業の経営活動を支える情報システムの基盤となることを理解しているか、という意図があります。生産管理システムやERP(Enterprise Resource Planning)システムなどでは、今回扱ったような計算ロジックが組み込まれており、自動的に生産計画の提案や最適化が行われます。
販売見込量の算出:移動平均法
「移動平均法」は、過去の一定期間のデータ(ここでは販売実績)の平均を求め、それを将来の見込みとして使用する予測手法の一つです。直近のデータを重視し、データが追加されるごとに平均を再計算していく点が特徴です。
この問題では、9月の販売見込量を算出するために7月、8月、9月の販売実績の平均を使用しました。「翌月の販売見込量が当月までの3か月の販売実績」という表現は、通常であれば「見込を算出する月の直前の月までの実績」を指しますが、ITパスポート試験では、問題文の文脈や与えられたデータ構成から計算範囲を判断することが求められます。この問題の場合、正解に導くデータ構成から、見込みを算出する月(9月)を含めた直近3か月の「実績データ」(またはそれに準ずる見込み値)を移動平均の対象と解釈するのが適切です。
移動平均法は、季節変動や不規則な変動があるデータに対して、ある程度安定した予測値を得やすいというメリットがあります。一方で、急なトレンドの変化には追従が遅れるという弱点も持ち合わせています。
製造量計画の基本的な考え方
製造量の計算式「翌月の製造量 = 翌月の販売見込量 - 当月末の在庫量 + 20」は、製造業における生産計画の非常に実用的なロジックを表しています。
- 翌月の販売見込量: 次の月にこれだけ売れると予測される量です。これを生産しないと、販売機会を逃してしまう可能性があります。
- 当月末の在庫量: 今月の終わり(つまり、翌月が始まる時点)で手元に残っている商品の量です。この在庫分は新たに生産する必要がないため、製造量を減らす要因となります。
- +20: この「20」は、「安全在庫」や「目標在庫」と呼ばれるものです。販売予測が外れた場合や、急な需要の増加があった場合、あるいは製造ラインのトラブルなどで生産が滞った場合に備えて、常に一定量をストックしておきたい予備の在庫を意味します。安全在庫は、欠品を防ぎ、顧客サービスレベルを維持するために重要な役割を果たします。
この計算式は、「売れる分から今ある在庫を引いて、さらに予備を確保するために少し多めに作っておこう」というシンプルな思考に基づいています。これにより、過剰生産による在庫コストの増加と、生産不足による販売機会の損失という、相反するリスクのバランスを取ろうとします。
実際のビジネスシーンとITの役割
このような生産計画のロジックは、製造業における基幹業務システム(ERP)や生産管理システムに欠かせない機能です。システムは、営業部門からの販売予測データ、倉庫管理システムからのリアルタイムな在庫データ、そして設定された安全在庫などのパラメーターを基に、自動的に翌月の製造量を算出します。これにより、計画立案の効率化、ヒューマンエラーの削減、そしてより精度の高い生産計画の実現を支援します。
ITパスポート試験では、このような計算能力だけでなく、その背後にあるビジネスロジックや、それがどのように情報システムで活用されるかを理解することが求められます。