ITパスポート試験 / 平成24年度 秋期 ITパスポート試験 / 問28
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平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問28 解説 コンカレントエンジニアリング

問28 コンカレントエンジニアリングの目的として、適切なものはどれか。

  1. ア 開発期間の短縮 ✓ 正答
  2. イ 開発した技術の標準化
  3. ウ 自社の技術的な強みを生かした製品開発
  4. エ 生産工程の歩留まり率向上

解説

問題を解くポイント

コンカレントエンジニアリングは、製品開発の各工程(企画、設計、製造、テストなど)を並行して進めることで、全体の開発期間を大幅に短縮することを目的とした手法です。各工程が密接に連携し、情報をリアルタイムで共有することで、手戻りを減らし、効率的な開発を実現します。この目的を理解していれば、選択肢ア「開発期間の短縮」が直接的な目的であることがすぐにわかります。

コンカレントエンジニアリングの基本概念

コンカレントエンジニアリングの「コンカレント(Concurrent)」とは、「同時並行」という意味です。従来の製品開発では、企画、設計、製造準備、テストといった各工程を順序立てて進める「ウォーターフォールモデル」が一般的でした。前の工程が完全に終わってから次の工程に進むため、もし設計段階で問題が見つかると、製造準備やテスト工程を始めるまでに修正が必要となり、開発期間が長くなりがちでした。

これに対し、コンカレントエンジニアリングでは、各工程を完全に独立させるのではなく、可能な範囲で同時並行的に進めます。たとえば、設計の初期段階から製造担当者やテスト担当者も関わり、設計上の問題点や製造しやすさ、テストのしやすさなどを早期にフィードバックするのです。

なぜ「開発期間の短縮」が最大の特徴なのか

コンカレントエンジニアリングが開発期間の短縮を実現する主な理由は以下の通りです。

  1. 工程間の待ち時間削減: 各工程を並行して進めることで、次の工程が前の工程の完了を待つ時間を大幅に減らせます。例えば、設計が全て完了するのを待たずに、一部の設計が固まった段階で製造準備や部品調達を開始するといったことが可能です。
  2. 問題点の早期発見と手戻りの最小化: 開発の初期段階から多様な専門家が関わることで、設計ミスや製造上の課題、テストの難しさなどを早い段階で発見できます。これにより、開発の後期に大規模な修正(手戻り)が発生するリスクを低減し、修正にかかる時間とコストを削減できます。
  3. 情報共有の促進: 開発チーム全体での密な情報共有と連携により、部門間のコミュニケーション不足による認識齟齬を防ぎ、スムーズな意思決定を促します。

これらの効果が複合的に作用することで、製品が市場に出るまでの時間を大幅に短縮し、市場の変化に素早く対応できるようになります。

他の選択肢が適切でない理由

  • イ 開発した技術の標準化: 標準化は、互換性の確保や効率化、コスト削減などを目的としますが、コンカレントエンジニアリングの直接的な目的ではありません。コンカレントエンジニアリングによって開発プロセスが効率化されることで、結果として標準化が進めやすくなる側面はあるかもしれませんが、それが手法の主目的ではありません。
  • ウ 自社の技術的な強みを生かした製品開発: これは製品戦略や研究開発の方向性に関わる話であり、開発手法であるコンカレントエンジニアリングの直接的な目的とは異なります。コンカレントエンジニアリングは、どのような製品を開発するかではなく、どのように効率的に開発するか、というプロセスに焦点を当てています。
  • エ 生産工程の歩留まり率向上: 歩留まり率とは、製造した製品のうち、不良品ではない良品の割合を示す指標です。生産工程の歩留まり率向上は、製造工程の効率化や品質管理の目的であり、開発工程を並行して進めるコンカレントエンジニアリングの直接的な目的ではありません。ただし、コンカレントエンジニアリングによって、開発段階から製造しやすさ(Design for Manufacturability: DFM)を考慮した設計を行うことで、間接的に歩留まり率向上に貢献する可能性はあります。

知識をビジネスの現場でどう活かすか

コンカレントエンジニアリングは、特に自動車、家電、半導体、ソフトウェアなど、複数の技術分野が複雑に絡み合い、迅速な市場投入が競争優位性に直結する業界で広く採用されています。

例えば、自動車開発では、デザイン、エンジン設計、車体構造、電子制御システムなど、多岐にわたる専門分野が同時並行で開発を進め、密に連携することで、開発期間を短縮し、消費者のニーズに合った新車をいち早く市場に投入しています。

ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、現代のビジネスにおいて、製品やサービスの開発・提供スピードが極めて重要になっているからです。プロジェクトマネジメントの基本的な考え方として、いかに効率的かつ迅速にプロジェクトを推進するかが、企業の競争力を左右します。コンカレントエンジニアリングは、そのための重要な手法の一つとして、基本的なビジネス知識として理解しておくべき概念と言えるでしょう。

参考リンク

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