平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問37 解説 ソフトウェアテストの種類
利用者がベンダーに委託したソフトウェア開発において、利用者側が実際の運用と同様の条件でソフトウェアを使用し、正常に稼働することを確認するテストとして、適切なものはどれか。
- ア 受入れテスト ✓ 正答
- イ 結合テスト
- ウ システムテスト
- エ 単体テスト
解説
この問題は、テストの主体が利用者(ユーザー)であることと、実際の運用環境を想定していることの2点に着目して解きます。開発を依頼した側が最後に最終チェックを行う工程が「受入れテスト」です。
開発工程の最後を締めくくる受入れテスト
ソフトウェア開発をベンダーに委託した場合、プログラムが完成して納品される直前に、発注者である利用者がその品質を確認する必要があります。これが受入れテスト(UAT: User Acceptance Test)です。
受入れテストの最大の特徴は、開発者ではなく利用者が主体となって実施する点にあります。開発者が「仕様書通りに作りました」と言っても、実際に使う現場の視点で見ると使い勝手が悪かったり、業務上の細かなルールに適合していなかったりすることがあります。そのため、本番と同じデータや環境を用いて、業務が滞りなく行えるかを最終確認します。このテストに合格することで、正式に検収(納品物の確認と支払い義務の発生)が行われ、システムは本番稼働へと進みます。
段階的に範囲を広げるテストの全体像
ソフトウェアのテストは、小さな単位から大きな単位へと段階的に進められます。選択肢にある他のテスト手法を整理することで、受入れテストの位置付けがより明確になります。
単体テスト
プログラムを構成する最小単位(モジュールや関数)が、正しく動作するかを確認します。主に開発者がソースコードの論理的な正しさをチェックする段階です。
結合テスト
単体テストを終えた複数のモジュールを組み合わせて、データの受け渡しがスムーズに行われるかを確認します。部品同士のインターフェース(接合部)に不具合がないかを調べるのが目的です。
システムテスト
開発したシステム全体を一つの塊として扱い、機能や性能が要件定義書で定めた通りに仕上がっているかを確認します。ベンダー側が「契約通りのものを作った」と証明するためのテストであり、本番に近い負荷をかけたり、セキュリティの強度を確認したりすることも含まれます。
利用者の視点がなぜ重要か
ITパスポート試験でこの知識が問われる背景には、システムの構築を丸投げにするのではなく、発注側にも責任があることを理解させる意図があります。
開発ベンダーは仕様書に基づいたテスト(システムテストまで)を得意としますが、利用者のビジネス環境でしか発生しない特殊なケースや、直感的な操作感までは完全に網羅できないことが多々あります。受入れテストは、開発側と利用側の認識のズレを解消する最後の砦です。
この知識は、将来システム開発の担当者になった際、ベンダーから「完成しました」と言われた後、自分たちが何を根拠にハンコを押して受け入れるべきかを判断するための実戦的な指針となります。
参考リンク
- ITパスポート試験過去問道場 問37 令和4年分
- 受入れテストを自動化してみよう(Zenn)
- JIS X 0160:2021 ソフトウェアライフサイクルプロセス(日本産業標準調査会) ※JIS検索画面で「X0160」と入力し検索することで、受入れプロセスに関する厳密な定義を確認できます。