平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問47 解説 Webポータルシステムのサービス提供者
問47 機能が随時追加されるWebポータルシステムのサービス提供者が、提供中のITサービスを一覧で閲覧できる利用者のカタログを作成した。カタログの内容に関する記述として、適切なものはどれか。
- ア ITに詳しくない利用者にもサービス内容が理解できるようにする。
- イ 維持管理のコストが掛からないように更新は年1回にまとめて実施すべきである。
- ウ 記述の厳密性を高めるために利用者に分かりにくくなっても専門用語を多用する。
- エ サービス提供者が説明しやすい形式でITサービスのカタログを作成する。 ✓ 正答
解説
この問題は「サービスカタログ」という概念の目的を理解することで解くことができます。サービスカタログとは、利用者が利用可能なITサービスのメニューを一覧にしたものです。この問題では、カタログの内容として「最も適切」なものを探すため、利用者の視点とサービス提供側の目的の双方に照らし合わせ、不適切な選択肢を排除していくのが正解への近道です。
サービスカタログの目的と役割
ITサービスマネジメントにおいて、サービスカタログは提供しているサービスの一覧を記載したものです。これを作成する最大の目的は、利用者(顧客)が必要なサービスを正しく認識し、選択できるようにすることです。
機能が随時追加されるWebポータルシステムのような環境では、新しいサービスが登場するたびに利用者にその価値を正しく伝えなければなりません。そのため、カタログの内容は利用者にとって分かりやすく、最新の状態に保たれている必要があります。
誤った選択肢を排除する思考プロセス
各選択肢を検討する際、サービスカタログが本来持つ「利用者とのコミュニケーションツール」という役割に注目します。
・選択肢ア:ITに詳しくない利用者にも理解できるようにする、という点は一見正しそうですが、選択肢エと比較した際、カタログ作成の主眼は「サービス提供者が(利用者に)説明しやすい(=誤解なく伝わる)形式で構成する」という、伝達効率の最適化にあります。 ・選択肢イ:機能が随時追加されるシステムにおいて、年1回の更新では最新のサービス状況を反映できません。カタログは常に最新であるべきという原則に反します。 ・選択肢ウ:専門用語の多用は利用者の利便性を著しく低下させます。ITサービスマネジメントでは「利用者の視点」が何よりも優先されるべきであるため、不適切です。
選択肢エにある「サービス提供者が説明しやすい形式」とは、単に提供者が楽をするという意味ではなく、サービス内容の定義や範囲が整理されており、利用者に対して一貫性を持って説明・提示できる状態を指します。これにより、利用者との認識の齟齬を防ぎ、ITサービスを円滑に利用してもらうための土台が作られます。
ITサービスマネジメントの現場における活用
この知識は、実際のビジネス現場では「顧客満足度の向上」と「問い合わせ対応の効率化」に直結します。
例えば、社内システムのヘルプデスクやIT部門が、利用者に「何ができて、何ができないのか」を明示的なカタログとして提示できれば、利用者は迷わず適切な申請や質問を行うことができます。一方で、提供側にとっても、カタログを整備しておくことで、サービス範囲外の依頼を抑制したり、新しい機能を導入した際の案内がスムーズになったりするメリットがあります。
試験におけるこの問題の意図は、ITシステムを「技術的な塊」として見るのではなく、それを利用者に価値として提供する「サービス」という側面から捉えられているかを問うことにあります。