平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問52 解説 アルゴリズムの契約上の盛り込み項目
新たに考案したアルゴリズムを用いて画像処理のプログラミング作業を、外部ベ ンダに委託することにした。情報の取扱いについて厳格に管理することを促すため に契約書に盛り込む項目として、適切なものはどれか。
- ア 開発後の保守体制
- イ 開発体制図
- ウ システム全体の性能保証
- エ 秘密保持 ✓ 正答
解説
問題文にある「新たに考案したアルゴリズム」という言葉が、この問題の最重要キーワードです。自社独自の価値を外部に提供する際、最も守らなければならないのは「情報そのものの流出」であると判断します。選択肢の中で情報漏えいを防ぐための直接的な項目は「秘密保持」だけであるため、迷わずエを選択します。
外部委託における契約の役割
システム開発の委託契約において、契約書は発注側と受注側の約束事を明確にする重要な書類です。開発体制や性能保証も重要な要素ですが、本問の目的は「情報の取扱いについて厳格に管理すること」です。
開発対象が「新たに考案したアルゴリズム」であれば、それは企業の知的財産であり、競合他社に知られれば大きな損失につながります。このような機密情報を守るために結ぶのが秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)であり、これを委託契約の中に条項として盛り込むことが、リスクマネジメントの基本となります。
なぜ他の選択肢ではいけないのか
他の選択肢は、プロジェクトの円滑な進行や成果物の品質に関連する項目ですが、情報の保護という観点からは優先度が異なります。
ア:開発後の保守体制は、完成後の運用を安定させるための項目です。 イ:開発体制図は、誰がどのように作業を担当するかを確認するためのもので、責任の所在を明らかにする意味はありますが、秘密保持を直接的に強制するものではありません。 ウ:システム全体の性能保証は、期待した処理速度や機能が備わっているかを担保するための項目です。
これらの項目は契約書に含まれるべき重要な要素ですが、「情報を守る」という本問の目的を達成する手段としては不十分です。
セキュリティと知的財産の保護
この知識は、ITの現場だけでなくあらゆるビジネスシーンで活用される概念です。特に、ITパスポート試験においてこの問題が出題される意図は、情報セキュリティの3要素である「機密性」「完全性」「可用性」のうち、「機密性(認可されていない者に情報を使用させないこと)」を確保するための具体的な契約のあり方を理解させることにあります。
実務においては、契約書だけでなく、秘密保持に関する誓約書を個別の作業者に提出させることもあります。単に契約を結ぶだけでなく、「何を秘密として扱うのか」「期間はいつまでか」「違反した場合はどうなるのか」を具体的に定義することが、トラブルを未然に防ぐための強力な防波堤となります。