平成24年度 秋期 ITパスポート試験 問53 解説 ER図の表現対象
関係データベースの設計で用いられるE-R図が表現するもの は何か。
- ア 時間や行動などに応じて変化する状態の動き
- イ システムの入力データ、処理、出力データを関係
- ウ 対象世界を構成する実体(人, 物, 場所, 事象など)と実体間の関連 ✓ 正答
- エ データの流れに着目したときの、業務プロセス の動き
解説
E-R図の判断根拠
E-R図という言葉が持つアルファベットの意味に着目します。EはEntity(実体)、RはRelationship(関連)を指します。データベース設計において、「どのようなデータ項目が存在し、それらがどう結びついているか」を視覚的に表現する図であると結びつければ、選択肢の中から「実体」と「関連」というキーワードを含むウが正解であると即座に判断できます。
E-R図が表すデータベースの構造
E-R図は、リレーショナルデータベースを作成する前段階の設計図として用いられます。ここでいう「実体(エンティティ)」とは、顧客、商品、注文といったデータとして管理したい対象のことです。そして「関連(リレーションシップ)」は、それらの実体同士が持つ関係性を示します。
例えば「顧客が注文をする」という業務であれば、「顧客」という実体と「注文」という実体が、「注文する」という関係で結ばれていることを図示します。このように、業務に必要なデータ要素とそのつながりを網羅的に整理することで、データベースのテーブルを適切に構築するための地図を作成するのです。
消去法による選択肢の検討
本問のような図解手法を問う問題では、他の選択肢がどの手法を指しているのかを理解することで、より確実な知識定着が図れます。
アとエは、データの流れやプロセスの順序に着目しているため、データフロー図(DFD)や業務フロー図の説明です。これらは「何が起きるか」という動きを表現するものです。 イの「入力、処理、出力」は、システム開発における入出力の概念そのものであり、E-R図が主目的とする「データの静的な構造」とは異なります。
データベース設計における役割
実務において、E-R図を作成する最大の利点は、開発者とユーザー(あるいは関係者)の間で、データの定義を共通言語として可視化できる点にあります。「どのデータがどのデータと繋がっているのか」が図として明確になっていれば、システムの実装段階で「必要なデータが足りない」「テーブル構成が複雑すぎて整合性がとれない」といったトラブルを未然に防ぐことができます。
情報処理の現場では、システムがどれほど高度な処理を行っても、その土台となるデータの構造が正しく設計されていなければ正しく機能しません。E-R図は、複雑な現実世界を単純化し、コンピュータが扱える形に変換するための架け橋となる重要なツールです。