平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問5 解説 SCMの導入効果
SCMの導入効果として,最も適切なものはどれか。
- ア 売掛金に対する顧客の支払状況を迅速に把握できる。
- イ 顧客に対するアプローチ方法を営業部門全体で共有できる。
- ウ 顧客の要求に合わせてタイムリーに商品を供給できる。 ✓ 正答
- エ 個々の商品への顧客のニーズに対する理解を深めることができる。
解説
SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)は、原材料の調達から製造、物流、販売に至る一連の工程をひとつの鎖として捉え、全体を最適化する考え方です。選択肢の中から「全体最適化」や「供給プロセスの連携」に直結する項目を選ぶことが正解への近道です。
供給プロセスの鎖をつなぐSCMの役割
SCMの目的は、各部門や企業が分断された情報を連携させ、在庫の最適化やリードタイム(発注から納品までの時間)の短縮を図ることにあります。
例えば、店舗で売れた商品のデータが製造工場に即座に共有されれば、過不足のない生産計画が立てられます。この情報の流れがスムーズになることで、企業は顧客が欲しいと思った瞬間に商品を届けることが可能になります。これが、正解である「顧客の要求に合わせてタイムリーに商品を供給できる」という効果の本質です。
消去法で見抜く選択肢のポイント
試験では、よく似た用語との混同が狙われます。以下の選択肢が何を指しているかを整理すると、SCMとの違いが明確になります。
ア:これは売掛金管理や与信管理の話であり、会計システムやERPの一機能に関する説明です。 イ:これは営業活動の効率化を目的としており、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の典型的な導入効果です。 エ:これもCRMの領域です。顧客個人の購買履歴を分析し、より良いサービスを提供するための考え方です。
SCMは「モノの流れと情報の流れの統合」であるのに対し、CRMは「顧客との関係性の最適化」であると区別しておきましょう。
経営の全体像と最適化の視点
SCMは、現代のビジネスにおいて欠かせない「全体最適」の考え方を学ぶための入り口となる知識です。特定の部署だけが得をするのではなく、川上(仕入れ)から川下(販売)までをつなぐことで、廃棄ロスの削減や欠品防止といった経営課題を解決します。
ITパスポート試験では、SCMが「供給連鎖(調達~販売まで)を統合的に管理するもの」、CRMが「顧客データを活用して関係を強化するもの」、という対比で問われることが多いため、この構造を頭に入れておくと、実務に近い場面でも迷わずに解答できるようになります。