平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問11 解説 経営理念
経営理念に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。
- ア 1~2年ごとに見直し,修正するものである。
- イ 企業の使命や存在意義を表したものである。 ✓ 正答
- ウ 経営計画や経営方針を具体化したものである。
- エ 社是,社訓などに明文化されていないものである。
解説
経営理念という言葉が指す「企業の根本的な価値観や存在意義」という核心部分に着目し、選択肢の中からそれ以外の「具体的」あるいは「流動的」な要素を排除することで正解を導き出します。
経営理念が果たす役割
経営理念とは、企業が何のために存在し、社会に対してどのような価値を提供していくのかを定めた、組織にとって最も上位に位置する考え方です。英語ではミッションやパーパスと呼ばれることもあります。
この理念は、企業の全ての活動の指針となります。どれだけ時代が変わっても変わらない「企業の魂」とも言える部分であるため、頻繁な見直しは行われません。一方で、経営計画や経営方針は、この理念を実現するために期間や数値目標を定めた「具体的な手段」です。そのため、経営理念そのものを指して「計画や方針を具体化したもの」とする選択肢ウは誤りとなります。
判断の思考プロセス
問題文の選択肢を、経営理念の性質と照らし合わせて検証します。
・選択肢ア:経営理念は企業の価値観そのものであり、1~2年でコロコロ変わるものではありません。長期的かつ普遍的な存在です。 ・選択肢イ:企業の存在意義、つまり「なぜこの会社が存在するのか」という問いに対する答えが経営理念です。これは定義として非常に正確です。 ・選択肢ウ:経営理念は抽象的かつ上位の概念です。これに基づき、具体化されたものが経営計画や方針となります。包含関係が逆であるため誤りです。 ・選択肢エ:経営理念は、社員の意識統一や企業ブランドの確立のために、社是や社訓として成文化(明文化)されることが一般的です。
このように、経営理念が「組織の羅針盤」であるという定義を理解していれば、他の選択肢がいかに短期的、あるいは手段的であるかを見抜くことができます。
実践的なマネジメントへの応用
ITパスポート試験でこの知識が問われる背景には、企業活動全体を俯瞰する視点を持ってほしいという意図があります。例えば、システム開発プロジェクトであっても、その目的は最終的に「企業の経営理念を達成するため」にあります。
もし、経営理念と矛盾するようなシステム開発(コスト削減だけを重視して顧客への貢献を疎かにするなど)を行えば、長期的には企業の価値を下げてしまう可能性があります。ビジネスの現場では、何か判断に迷ったとき「これは我々の経営理念に合致しているか?」と問いかけることで、組織の方向性を誤らないための指標として活用されます。経営理念は単なるスローガンではなく、意思決定における最重要の判断基準であることを押さえておきましょう。