平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問22 解説 ターゲットマーケティング
ターゲットマーケティングの説明として,適切なものはどれか。
- ア 企業活動を個別の価値活動に分解し,各活動の付加価値について分析する。
- イ 事業や製品を成長性や市場シェアの観点で分類し,ポジショニングに応じた最適な資源配分を行う。
- ウ 市場を幾つかのセグメントに分割し,少数のセグメントに絞ったアプローチを行う。 ✓ 正答
- エ 商品が市場に導入されて衰退するまでの期間を分割し,各期間に対応した戦略を設定する。
解説
ターゲットマーケティングという用語が指すのは、全体の中から特定の標的(ターゲット)を絞り込むという行為です。選択肢のうち、市場を細分化(セグメンテーション)して特定のグループへ狙いを定めるという記述があるウが正解です。
マーケティング戦略の基本フレームワーク
ターゲットマーケティングを理解する上で欠かせないのが「STP分析」です。これは以下の3つの頭文字をとった戦略プロセスを指します。
- セグメンテーション(Segmentation):市場を年齢、性別、居住地域、趣味嗜好などの基準で細分化する。
- ターゲティング(Targeting):細分化した市場の中から、自社が勝負すべき最も魅力的なセグメントを絞り込む。
- ポジショニング(Positioning):ターゲットに対して、競合他社とは違う自社独自の立ち位置(優位性)を築く。
今回の問題にある「ターゲットマーケティング」は、このプロセスの中で、特に市場を細分化して標的を絞る部分に焦点を当てています。
なぜ他の選択肢が不適切なのか
選択肢の記述をマーケティングや経営戦略の専門用語と照らし合わせると、それぞれ別の手法を指していることが分かります。
アは「バリューチェーン分析」の説明です。企業の活動を主活動と支援活動に分類し、どの活動がどれだけの利益を生んでいるかを分析します。
イは「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」の説明です。花形、金のなる木、問題児、負け犬といった分類で製品の立ち位置を評価し、経営資源の配分を最適化します。
エは「プロダクトライフサイクル(PLC)」の説明です。導入期、成長期、成熟期、衰退期という流れに合わせて、製品の広告や価格戦略を変化させる考え方です。
実社会でのマーケティングの捉え方
企業が限られた予算と時間で最大の成果を上げるためには、あらゆる顧客を対象にする「マスマーケティング」よりも、ターゲットを絞り込む手法が不可欠です。
例えば、新しいスマートフォンの開発において、単に「全年齢層」をターゲットにすると機能やデザインが中途半端になりがちです。しかし、「都心で働く30代のビジネスマン」にターゲットを絞れば、長時間のバッテリー持ちや高度なセキュリティなど、訴求すべき強みが明確になります。
試験では用語の定義を正確に問われますが、実務やニュースを見るときには「この商品はどのセグメントを狙っているのか?」「競合他社と比較してどのようなポジショニングを取っているのか?」と考える癖をつけると、戦略の構造がより深く理解できるようになります。