平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問32 解説 プロジェクトスコープ
プロジェクト・スコープ・マネジメントで実施する作業として, 適切なものはど れか。
- ア プロジェクトチームを編成し, 要員を育成する。
- イ プロジェクトに必要な作業を, 過不足なく抽出する。 ✓ 正答
- ウ プロジェクトのステークホルダを把握し, 連絡方法を決定する。
- エ プロジェクトのリスクを識別し, 対策案を検討する。
解説
プロジェクト・スコープ・マネジメントとは、プロジェクトが成功するために必要な作業の範囲(スコープ)を定義し、管理する活動です。「何をやるのか」を明確にすることが目的であるため、作業範囲を過不足なく洗い出す行為が正解となります。
スコープを定義するということ
プロジェクト・スコープ・マネジメントにおいて最も重要なのは、プロジェクトで実施すべき作業範囲を確定させることです。これを行うための代表的な手法がWBS(Work Breakdown Structure)の作成です。
プロジェクトの目標を達成するために必要な成果物や作業を、上位から下位へと階層的に分解していくことで、全体像を漏れなく、かつ重複なく把握します。もしこのプロセスを怠ると、後になって「実はこの作業が必要だった」という予期せぬタスクが発生したり、逆に本来不要な作業に時間を割いてしまったりする「スコープ・クリープ(範囲の肥大化)」が発生し、プロジェクトの遅延やコスト超過を招きます。
誤った選択肢の整理
他の選択肢は、プロジェクト・マネジメントの別の領域を指しています。
・プロジェクトチームを編成し、要員を育成する これはリソース・マネジメントに該当します。誰が作業するかという「人」に関する管理です。
・プロジェクトのステークホルダを把握し、連絡方法を決定する これはコミュニケーション・マネジメントや、ステークホルダ・マネジメントに該当します。関係者とどのように情報を共有するかに焦点を当てています。
・プロジェクトのリスクを識別し、対策案を検討する これはリスク・マネジメントに該当します。プロジェクトを阻害する可能性のある事象をあらかじめ想定するプロセスです。
このように、プロジェクト・マネジメントは複数の領域に分かれています。「スコープ=範囲・作業内容」という言葉の定義と結びつけて覚えることが、問題を解く鍵となります。
実務におけるスコープ管理の意義
この知識は、実際の現場では「仕様の確定」や「契約範囲の合意」において不可欠です。例えば、ITシステム開発の見積もりを出す際、スコープが曖昧であれば「この機能も作ってくれると思っていた」という認識のズレが顧客との間で必ず発生します。
試験で問われるような「過不足なく抽出する」というプロセスを現場で実践することは、単なる事務作業ではなく、プロジェクト開始時の「合意形成」という非常に政治的かつ戦略的な活動そのものです。何をするかだけでなく、何をやらないかまで決めておくことが、プロジェクトを計画通りに完了させるための第一歩となります。