平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問46 解説 品質計画のベンチマーク
システム開発プロジェクトにおいて,類似している他のプロジェクトの実績を基準として,単体テストの不具合発生率を評価することにした。品質計画におけるこの手法はどれか。
- 統計的サンプリング
- パレート分析
- ファンクションポイント法
- ベンチマーク ✓ 正答
解説
解き方のポイント
この問題は、比較対象となる「基準」が示されているかどうかに注目します。「他のプロジェクトの実績を基準とする」というキーワードがあれば、それは「ベンチマーク」を選択するサインです。
ベンチマーキングとは何か
ベンチマーキングとは、優れた他者のプロジェクトや業界標準、あるいは過去の自社プロジェクトのデータを「基準(ベンチマーク)」として設定し、現在のプロジェクトの状態と比較・分析する手法です。
品質管理の文脈では、単に測定を行うだけでなく、「目標値に対して現状はどうなっているのか」「過去の成功プロジェクトと比べて異常な傾向はないか」を客観的に評価するために用いられます。
問題文から正解を導く思考回路
この問題を解くためのキーワードは「比較」と「基準」です。選択肢を分析すると、それぞれ異なる目的を持つ手法であることがわかります。
統計的サンプリングは、全体から一部を抽出して調査し、全体の状態を推測する手法です。品質検査で全量検査が不可能な場合などに使われます。 パレート分析は、発生件数の多い順に並べ、累積比率をグラフ化することで「どの問題が全体に大きな影響を与えているか」を特定する手法です。80:20の法則(2割の原因が8割の結果を生む)に基づきます。 ファンクションポイント法は、機能の数や複雑さからシステム規模を見積もる手法です。 ベンチマークは、あらかじめ設定した「基準」と現在の数値を照らし合わせる手法です。
問題文にある「類似している他のプロジェクトの実績を基準として」という部分は、まさにベンチマークの定義そのものです。比較対象を外(あるいは過去)に求めて評価を行うという構造を捉えれば、自然と正解にたどり着けます。
実務における活用のヒント
この手法はプロジェクトマネジメントの現場で非常に頻繁に使われます。例えば、新しいシステム開発を立ち上げる際、「前回の開発では100ステップあたり何件のバグが出ていたか」という実績をベンチマークとして設定します。
もし、今回の開発で初期テストの段階からその数値を大きく上回る不具合が発生していれば、「設計工程に欠陥がある可能性がある」と早期に気づくことができます。このように、ベンチマークは単なる比較ツールではなく、問題の予兆を捉え、未然に品質事故を防ぐための「ものさし」として活用される重要な知識です。